税務調査が行われる本当の理由とは?
今回のテーマは、『税務調査の目的』です。
税務調査を行う目的とは何でしょう?
調査官の目的は、不正を暴くだけが任務ではないのです。
「国民は法律の定めるところにより、納税の義務を負う」
(日本国憲法第30条)
このメルマガやセミナーでも何度となく申し上げてきましたが
つまり適正かつ公平な課税を実現することが真の目的です。
しかし、建前だけでは当然、事はすんなり運びません。
なぜなら「税金は少ない方が良い」と多くの人が思っているからです。
日本の税制は、”自分で申告して自分で納める”申告制度になっています。
もしも納税者の判断に任せきりにしてしまったら、
自分勝手に申告し、税金を小額で済ませようとするでしょう。
正しい納税を促すために、『税務調査』を行う必要があるのです。
過去に、大きな自然災害に見舞われた被災地で数年間
税務調査を実施しなかったことがありました。
納税者にしてみれば、とても調査を受けられる状態ではありません。
その配慮から地元の税理士会などを通じて、行わない方針が伝えらました。
数年後、災害の状況も落ち着き、調査を再開したところ
「雨後のたけのこ」の如く、不正が見つかったのです。
たった数年間、税務調査を行わなかっただけで、
納税者はいい加減に申告を済ませてしまっていたのです。
一定期間経過をすれば、税務調査を行うことは必然なのです。
これは納税者に対しての牽制でもあります。
政治家や芸能人などの申告漏れが世間を騒がせます。
私も調査官時代にいくつかの案件に立ち会いました。
額としてはさほど大きな金額ではないのに、大きく扱われるのはなぜでしょう?
芸能人や政治家は世間に対して大きな認知度があります。
知るはずのない情報がマスメディアにリークされるのは、
世間に対して、”正しい納税”を意識させるための、これも牽制であるのです。
税務署内で年に一度、職員の業務に対して、
特に優れた実績を称える『優良事績』という表彰があります。
様々な業務がある中で、ほんの数件にだけ贈られる特別な賞ですが
それらのほとんどが税務調査における大きな不正の発見です。
この表彰は、当然、出世にも大きく影響してきますので、
調査官が目の色を変えて、税務調査で無理難題を押し付けるワケです。
税務調査を行うことは、国民に”正しい納税を意識させる”目的があるのです。
※2010年2月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
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