税務調査で「更正なら青色取消し」の指摘に反論すべき論点(2)
※2020年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
4月30日配信のメルマガに引続き、税務調査で
青色取消しと指摘された場合の反論について、
今回は青色取消しの要件と注意事項を解説します。
なお、前提は前回と同じく「仮装・隠ぺい行為」
がある(=重加算税の賦課要件を満たしている)
こととします。
仮装・隠ぺいに該当している、いわゆる
「不正所得がある」なら青色取消しに該当する
と思い込んでいる調査官も多いです。
一方で、前回も取り上げた事務運営指針では、
の3(1)イまたはロにおいて、青色取消しの
「定量的要件」が規定されています。
この規定の判断基準はわかりにくいので、
下記の過去メルマガ記事をご覧ください。
なお、この基準は「各年(事業年度)」ごとに
判断することになり、調査期間の通年では
ありませんので注意してください。
多くの調査事案では、各年の不正所得が
500万円未満であるか、もしくは
更正所得金額の50%以下なので、
事務運営指針の定量的要件を満たさず、
実際には青色取消しにはならない・反論可能
であることがほとんどでしょう。
さらに、同事務運営指針には青色取消しにならない
基準として、3(5)の規定があります。
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(1)のイ又はロに該当する場合であっても、
その事業年度前7年以内の各事業年度につき
次のいずれの要件も満たし、かつ、今後適正な
申告をする旨の当該法人からの申出等がある
ときは、青色申告の承認の取消しを見合わせる。
1 青色申告承認取消処分を受けていないこと。
2 既往の調査に係る不正所得金額又は
不正欠損金額が500万円に満たないこと。
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この規定により、上記の定量的要件を満たす
場合であったとしても、7年以内に青色取消し
されていないなどの要件を満たせば
青色取消しにならないことが明記されています。
以上からわかる通り、よっぽどの事情がない
限り、重加算税に該当していたとしても、
青色取消しにはならないということです。
調査官が「更正するなら青色取消しをします」
(修正申告するなら青色取消しはしない)
と言うのは、「事務運営指針の不知」もしくは
「脅し」であることが多いということです。
さて、次回の本メルマガでは、この「脅し」
(修正申告への誘導)は法的に問題ないのか
について解説します。
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