税務調査で「更正なら青色取消し」の指摘に反論すべき論点(3)
※2020年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
前回水曜のメルマガに引続き、税務調査で
「修正申告せずに更正するなら青色取消し」
という指摘に対する反論について解説します。
「修正申告せずに更正するなら青色取消し」
という調査官の指摘は、
修正申告に応じるなら=青色取消ししない
(増額)更正するなら=青色取消しする
という「修正申告への誘導」と捉えられ、
かつ「(修正申告ではなく)更正を選んだ
方が不利益になる」ということです。
まず、理解しておかなければならないのは、
調査官の否認指摘に基づいて修正申告を
提出する(修正申告の勧奨に応じる)のは
あくまでも納税者の任意の選択です。
国税通則法第74条の11(調査の終了の際の手続)
では、第2項で(誤りがある場合)「更正」
とされており、それに続く第3項で
「修正申告を勧奨することができる」
という規定になっています
(あくまでも「できる」規定に注意)。
また、修正申告の勧奨とは「行政指導」であり、
応じなかったとしても不利益がないことは、
下記のFAQでも明記されています。
「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
問25 調査結果の内容説明を受けた後、
調査担当者から修正申告を行うよう勧奨
されましたが、勧奨には応じなければ
いけませんか。また、勧奨に応じないために
不利な取扱いを受けることはないのでしょうか。
https://www.nta.go.jp/information/other/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm#a25
この根拠となるのは、下記の法律です。
行政手続法第32条(行政指導の一般原則)
2 行政指導に携わる者は、その相手方が
行政指導に従わなかったことを理由として、
不利益な取扱いをしてはならない。
これを「修正申告の勧奨」で言い換えると、
「納税者が修正申告の勧奨に従わなかった
ことを理由として調査官は不利益な
取扱いをしてはならない」
ということで、上記FAQの結論と同じ
「修正申告の勧奨に応じなかったからと
いって、修正申告に応じた場合と比較して
不利な取扱いを受けることはない」
となるわけです。
今回は「更正なら青色取消し」でしたが、
更正なら重加算税
=修正申告すれば重加算税は課さない
などでも全て同じ取扱いになります。
このように、修正申告を提出しないことを
主張したことで、調査官が
「更正となれば不利益がある」ことを
指摘してきた場合は、行政手続法違反
となりますので、反論が可能なのです。
安易に調査官の「脅し」に屈することなく、
根拠をもって反論してください。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。