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2022.12.09

税務調査でデータ提出に応じるデリメリ

※2021年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

年明けから電子帳簿保存法の大幅改正を控えながら、
(実質的な)2年延長となりましたので、
会計・経理業務のみならず、税務調査の受け方も
これからもしばらくは変わらないことになりました。

さて、コロナ禍により税務調査対応で変わったこと
としては、調査官が当たり前のように会計データの
提出を要請してくるようになった点でしょう。

先日私にあった質問・相談でも、
「調査官から事前に3期分+進行期の会計データ
をくださいと要請された」「調査官は、最近は
通常もらうことにしていると言っている」
という調査事案がありました。

昨年10月に配信した本メルマガ
「税務調査で会計データは提出義務があるのか?」
でも詳しく解説しましたが、(電子帳簿保存法を
適用している場合を除き)調査の対象物は
あくまでも【紙】となりますので、
調査官のデータ提出要請は断ることができます。

税務調査では、紙の提示・提出が「義務」であり、
データの提出は「任意」ということです。

さて、ここであくまでも「断ることができます」
としているのは、断った方がいいか、
あえて断らずに応じた方がいいのかは
調査事案によって判断すればいいということです。

顧問先ごとに意向が違うでしょうから、
画一的な対応をする必要はありません。

これは、調査において「留置き」(原資資料等を
税務署に持ち帰る)に応じるかどうかと
同じ判断基準で、応じるかどうか、その
メリット・デメリットを考慮すべきでしょう。

税務調査において会計など電子データの提出を
断ることが可能とはいえ、あえてその提出に応じる
メリット・デメリットは下記が挙げられます。

●メリット
・立会いに時間/場所をとられない
・税務調査が早く終わる

●デメリット
詳細に確認・突合されることで否認リスクが上がる

一般的には調査官に多くの情報を与えることで
否認リスクが上がることを嫌がるかと思いますが、
コロナ禍であれば臨場・対面自体を嫌がる
顧問先も多いでしょうから、そのあたりは
顧問先の意向を踏まえ、適正に判断すべきです。

なお、上記の質問・相談であるような
「進行期のデータ」については、調査官が
期ズレを確認したいから要請するのでしょうが、
調査開始後に必要であればまだしも、
調査前に要請するのはいかがなものかと思います。
これについては、下記の過去記事をご覧ください。

「進行年分の調査は認められるのか?」

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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