税務調査で個人口座などを求められたら
今回のテーマは、『税務調査で個人口座などを求められたら…』です。
税務調査においてよくトラブルになるのが、
個人的なものまで調査対象になることです。
ヒドい調査官になれば、法人の調査にもかかわらず
経営者の自宅に上がり込むようなケースも。
こんなことが実際に起こればこれは
刑法130条の住居侵入罪が適用になります。
法人が税務調査の対象であれば、
基本的には個人にかかるものについては
調査対象とならないことから拒否することができます。
しかし個人事業主に対する税務調査であれば
話は少しややこしくなります。
調査の対象が個人なわけですから。
今回は個人事業主に対する所得税等の税務調査において、
どこまでが調査(検査)対象になるのかを考えてみましょう。
まず法律の確認です。
所得税法第234条(当該職員の質問検査権)
国税庁、国税局又は税務署の当該職員は、
所得税に関する調査について必要があるときは、
次に掲げる者に質問し、又はその者に
事業に関する帳簿書類その他の物件を
検査することができる。(以下省略)
この条文から明確である通り、個人事業主に対する所得税の調査は
「事業に関する帳簿書類」に関するものに限定されているわけです。
法人に対する調査範囲が、法人所有のすべての帳簿書類であるのとは相当な差があることに注意してください。
(さらに付け加えると、法人であれば個人は全く調査対象になりません)
つまり個人に対する税務調査において、事業に関係のない個人預金であったり、生活する上で使用している資産などの検査を強要することは
決して認められていないのです。
税務調査には受忍義務があり、受忍義務に違反した場合は
納税者に検査拒否罪が成立します。
しかし上記のような事業に関係のない調査の場合は
当然ながら検査拒否罪は成立せず、逆に調査官側に刑法193条に
規定がされている「公務員職権濫用罪」が成立するのです。
個人事業主に対する税務調査は、”個人の全てを調査できる”
と思いこんでいる調査官が多いので注意してください。
なお相続税の場合、調査の範囲は「財産に関する帳簿書類」に
なっていますので、個人の預金や生活用資産なども全て、
法的に検査対象となりますので勘違いしないでください。
※2010年8月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
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