税務調査で粉飾だといつ言うか?
今回のテーマは、『税務調査で粉飾だといつ言うか?』です。
最近、弊社では税理士の先生に向けた自主開催セミナーを
数多く開催させていただき、好評を博しています。
またセミナー後は、小規模ですができるだけ懇親会を
開催させていただくようにしています。
これは税理士の皆さんからの税務調査に対する質問を、
私が対面で受けてその場で問題解決したいからです。
以前から対面で数多く受ける質問がこれです。
「今度、税務調査に入る会社さん…実は粉飾している
のですが、調査官に言うべきでしょうか?」
さて結論ですが、「粉飾の事実は伝えるべき」です。
しかしタイミングは見計らってください。
調査官からすると、粉飾している会社に税務調査に
入るなんて無駄足です。
本当は2日間実施する調査も、1日で切り上げたいところ。
納税者・税理士からしても、税務調査を早く終わらせたいことから、
税務調査の開始時点で粉飾であることをバラす人がいます。
しかし調査に行って早々、「粉飾です」と
言われた調査官はどう思うか?
「この税理士、経理状況がゆるいな」と思うわけです。
つまりこの税理士は会社に言われれば、
納税金額が増えることも減ることもやるんだろうなぁと。
こう思われてしまうと、以後税理士として
目をつけられ関与先にまとめて税務調査に入られかねません。
ですから粉飾であることは、調査官が薄々気付き始めた
時に伝えるべきです。
時間的にはだいたい、初日の午後~夕方でしょうか。
なお粉飾していた会社に税務調査が入り、
現在キャッシュ状況が厳しいなどの理由で
職権による減額更正を調査官に依頼する会社・税理士が
いらっしゃいますが、これは止めた方が無難です。
確かに税務調査は申告された所得・納税金額について調査を実施し、
そこに間違いがあれば是正するためのものです。
つまり納税金額がプラス(追徴)になる場合のみならず、
本来はマイナス(還付)になる場合も是正するべきです。
それでも減額更正を調査官に依頼しないでもらいたい
2つの理由があります。
1つ目は、過年分の非違項目については、
更正の請求を出して還付を受けるか、
以後の申告において過年度損益修正とするべきです。
法的には、粉飾している場合には職権による
減額更正をしなくてもいいという規定があるのですから。
(法人税法第129条第2項)
また2つ目の理由ですが、調査官は納税金額をプラス(追徴)するために
仕事をしているというのが本音です。
税務調査に行って、まさか減額更正するなんてことになったら
税務署内で何を言われるか…
粉飾していても、調査官に伝えるタイミングだけは
間違えないようにしてください。
※2010年8月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。