税務調査の傾向がつかめます!
※2017年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
10月末〜11月上旬に、国税庁のホームページで、
最新の税務調査に関するデータが発表されました。
今回は、法人に対する税務調査の傾向を解説しましょう。
「平成28事務年度 法人税等の調査事績の概要」
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/hojin_chosa/pdf/hojin_chosa.pdf
※平成28事務年度=平成28年7月〜平成29年6月
法人に対する税務調査の件数は、全体で
前事務年度から微増の約97千件。
数名の税理士さんから調査立会い時に、調査官が
「調査件数のノルマが増えていて大変」
という話を直近で聞いていますので、
少しずつでも調査件数は増えているのかもしれません。
法人の申告件数は年々増えており、
同事務年度で2,861千件となっていますから、
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/hojin_shinkoku/pdf/hojin_shinkoku.pdf
実地調査率は「3.4%」しかないことになります。
税務調査での否認割合は、
72千件÷97千件=約74%
となっており、否認率はほぼ4件に3件
という非常に高い水準となっています。
(増差税額ゼロの修正申告も含みます)
調査1件あたりの増差所得(法人税)は800万円超。
これを多いとみるか少ないとみるかは
人ぞれぞれかとは思いますが、消費税を合わせると
かなりの増差税額になることは確かでしょう。
重加算税の賦課率である「不正発見割合」は、
「20.4%」となっており、相変わらず
法人調査の5件に1件は重加算税が課されています。
毎年のことではありますが、重加算税賦課率は
20%前後を推移しており、私の感想では
「あまりに高すぎる」としか思えません。
今回の発表で特筆すべきは法人の消費税。
調査件数は微増ながら、追徴税額は4割増。
消費税の不正発見割合は上がっていないのに、
追徴税額だけが上がっていることから、
消費税の誤りが多いことがわかります。
8ページの別表3にある
「不正発見割合の高い10業種」の顔ぶれも
あまり変わっていませんが、このような
データも参考にしながら、国税は税務調査先を
選定していることは知っておいた方がいいでしょう。
海外取引がある税務調査は、件数・増差ともに
微増しており、調査対象者が
少しずつ増えていることがわかります。
公益法人については、法人数は増えていますが
法人税・消費税・源泉税ともに
調査件数・追徴税額は減少しています。
ここ数年で微増を続けてきましたが、
国税側も「潮目を変えた」感じでしょうか。
法人に対する調査事績だけを解説しましたが、
他税目については下記をご覧ください。
「平成28事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/shotoku_shohi/index.htm
「平成28事務年度における相続税の調査の状況について」
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/sozoku_chosa/index.htm
年に1回だけ発表される調査事績の概要。
税務調査をマクロ的に把握するには
良い資料となっていますので、
ぜひ詳細を分析してみてください。
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