税務調査の実施時期
税務調査の時期に入り、弊社にも相談件数が増えてきました。
昨年までの相談と若干違うのは、今年は
税務調査の「事前相談」が増えたことです。
まだ税務調査には入られていないけれど、
入られたことを想定して、今のうちに
対策を練っておこうというわけです。
確かに、問題は表面化していないものの、
事前に問題となりそうなポイントの対策を練っておくことで、
税務調査での否認リスクは格段に下がります。
さて、今回のブログでは私がよく質問を受ける、
税務調査の実施時期についてです。
どの会社が何期目で入られるのか、
明確にわかれば事前対策も容易なのですが・・・
そこまではわからなくても、税務調査の時期だけは
ある程度想定することが可能だという話です。
国税は毎年7~6月を事務年度としており、
7~12月が上期、1~6月を下期としています。
ご存知のように、7月(10日)に異動がありますので、
税務調査自体は6月中旬くらいには終わらせておくよう、
税務署内では徹底されています。
実は、上期と下期に実施する税務調査先は、
決算月によって配分されています。
上期(7~12月)の税務調査:2~5月決算法人
下期(1~6月)の税務調査:6~1月決算法人
これはまず、決算月別の法人数に依存しています。
日本では3月決算法人が特に多いため、
2~5月決算法人だけで、全法人の半分弱を占めます。
計算すると、260万社中110万社です。
また、申告書が提出されてからKSK(国税総合管理)システムへの入力、
その内容をチェック、申告書をファイリング、などの事務作業を経て、
税務調査に行くかどうかを判別することになりますので、
決算月からある程度のタイムラグを要することも理由の1つです。
こちらのデータは平成10年と古いのですが、
面白いのでぜひ見てください。
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/hojin1998/11.htm
「露骨に」決算月を2月から並べています。
これは国税内部が、2月決算法人から見ている証拠です。
すでにここで気付いた方も多いかと多いかと思いますが、
2~5月決算法人の方が税務調査では不利になります。
【理由】
①税務調査の頻度が高い
下期は個人の確定申告があるため、税務調査の件数は
上期よりも少ないのです。ということは、
260万社中110万社を対象にした税務調査の方が
頻度が高くなっているというわけです。
②税務調査が終わりにくい
下期に税務調査は、調査官が6月までに終わらせなければ
ならないため、交渉が非常に楽です。
一方、上期の税務調査はモメたら年越しも可能です。
上期の税務調査の方が交渉上不利なのです。
決算月による税務調査の時期を知っておくだけで、
事前の対策が練りやすくなりますので、
ぜひ上記を参考にしてください。
※2012年4月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は一切受け付けておりませんのでご留意ください。