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2022.05.06

税務調査の対象期間は何年なのか?(原則的考え方)

※2021年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に理解する
内容を連載で解説していますが、今回から数回にわたって
税務調査の対象期間を理解いただく内容を解説していきます。

普段はあまり意識しないことかと思いますが、
税務調査の対象期間は法的に何年になるのでしょうか?
実務的には「3年」とされていますが、それは
なぜなのかを含めて考えてみましょう。

まず、質問検査権等において税務調査の対象期間を
定めた明文規定はありません。

一方で、税務調査の対象期間は、更正・決定など賦課権の
除斥期間と連動することになります。なぜなら、
税務調査において誤り等があった場合、是正の手段は
原則として更正または決定になるからです。
(国税通則法第74条の11第2項)

※「更正」と「決定」を混同している方も多いのですが、
更正とは当初申告がある場合の是正、決定は
無申告など当初申告がない場合の賦課是正になります

簡単に書くと、税務調査をして非違があった場合に、
国税が更正などで是正できる年数=除斥期間なので、
税務調査の対象期間は是正できる期間しか
実施する意味はないということになります
(10年以上前の税務調査をして非違を見つけても
税務上の賦課権はありませんので)。

ここで、除斥期間を定めた原則的な法律規定を確認します。

国税通則法第70条第1項(国税の更正、決定等の期間制限)
次の各号に掲げる更正決定等は、当該各号に定める期限
又は日から5年(第二号に規定する課税標準申告書の提出を
要する国税で当該申告書の提出があつたものに係る賦課決定
(納付すべき税額を減少させるものを除く。)については、
3年)を経過した日以後においては、することができない。

先にカッコ書きから解説しますが、「課税標準申告書の
提出を要する国税」の除斥期間は3年となっていますが、
現在はこれに該当する税目はありませんので、
3年という除斥期間は実務上考慮しなくても大丈夫です。

以上から、除斥期間は原則として【5年】と認識してください。

※原則があれば例外があるわけですが、例外については
次回以降に取り上げていきます

ここまで解説してくると、除斥期間=税務調査の対象期間は
5年が原則になっているのに、多くの税務調査では
なぜ3年となっているのか、という疑問がわきます。

国税側も除斥期間が5年なので、事前通知段階から
税務調査を5年実施できることは理解しているわけですが、
多くの税務調査であえて3年としている理由は、
税務調査の件数を確保するためでしょう。

今までの慣習上、3年で実施していた税務調査を
5年に延ばせば調査件数は大幅に減ることになり、
調査件数の確保したい国税側の意向が反映されています。

また、国税側の論理としては、いったん3年で実施した
税務調査において、非違項目などがあり遡及年数を
延ばしたい場合は、調査対象期間を延ばせばいい
(4~5年前を対象期間に加える)という考えを
もっていることも、その理由の1つでしょう。

来週金曜の本メルマガでは、除斥期間の原則5年とは
相違する例外規定(個別的な年数)について解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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