税務調査の税制改正①
今回のテーマは、『税務調査の税制改正①』です。
2011年12月10日に税制改正大綱が発表され、
毎年のことながら税理士の注目を集めました。
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/24taikou_2.pdf
今回と次回のブログで税務調査にスポットをあてて税制改正の解説をしたいと思います。
なお、納税者権利憲章が制定されなかったため、予想より大幅な改正ではなかったものの、細かい規定だけは変わっているので、ポイントを絞って解説します。
さて、ここからの解説は「平成25年1月以降の税務調査」において
適用されるものですから、来年(平成24年)は今まで通りです。
また、条文に関しては下記URLからご覧ください。
http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/179diet/sst04_04.pdf
(1)質問検査権が通則法に移行
改正前までは、質問検査権は各個別税法に規定がありました。
法人税法第153条・所得税法234条・相続税法60条消費税法第62条などです。
この規定が、改正後には国税通則法第74条の2~に移行されることになりました。
文言自体はほぼ同じで、質問検査権の範囲を拡大したものではありません。以前と同じく、所得税に関しても「事業に関する帳簿書類その他の物件」ですから、個人事業主の生活費等の通帳は範囲に含まれません。
(2)事前通知
改正前までは、税務調査における「事前通知」については、(質問検査権の)条文に規定がない以上、事前通知を実施するかどうか、また実施するのであれば具体的にどうするのかについては詳細な規定がありませんでした。
今回の改正で、税務調査は原則、事前通知をすること、また通知すべき内容について詳細に規定されることになりました。
・納税義務者及び税理士への通知(通法74の9①)
・通知内容(通法74の9①各号)
⇒ 調査日時、調査場所、調査の目的、調査税目、調査対象期間、調査対象物件、その他一定の事項(政令委任)・調査に係る事前協議(通法74の9②)
⇒ 調査日時、調査場所については、合理的な理由があれば、
税務署と協議の上、変更が法律的には可能・通知内容以外の項目で
非違が想定される場合、通知内容と異なった趣旨の調査も可能
(通法74の9④)
(3)事前通知が不要の場合
原則、事前通知を要することが法制化されましたが、
結局のところ「無予告調査」はなくなることがありません。
過去の調査実績から不正過多の事業者である、または正確な調査が
難しくなると判断できる場合等には、無予告調査を実施することが
できることが法制化されました(通法74の10)
これはあくまでも予想ですが、過去に重加算税が賦課された
法人などは無予告調査の対象となりやすくなると考えられます。
次回も引続き、「税務調査の税制改正」を解説します。
※2011年12月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は一切受け付けておりませんのでご留意ください。