税務調査の税制改正②
今回のテーマは『税務調査の税制改正②』です。
さて前回から引続き、「税務調査の税制改正」です。条文に関しては下記URLからご覧ください。
http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/179diet/sst04_04.pdf
今回の解説は、税務調査が終了する際の改正ポイントです。(平成25年1月以降の適用ですから、平成24年は変更ありません)
(1)税務調査終了手続きの法制化
①実地調査の結果、是認の場合には、書面による説明(通法74の11①)
今までは「是認通知書=納税者サービスの一環」でしたが、
今後は是認通知書が法制化されます。
②調査の結果、更正等の処分を行う場合には、
その理由と内容を説明(通法74の11②)
③修正申告等の慫慂と、不服申立て等の書面教示(通法74の11③)
修正申告を慫慂(しょうよう)する場合は、以前から内部通達により、
納税者に対して書面による法的効力等の説明
(附帯税・地方税や社保の変更・不服申立てできない旨等)をするよう
周知されていましたが、全国的にみるとこれが徹底できていないのが現実でした。
これらを法制化することで、納税者による認識の相違が
かなり防げるのではないかと期待しています。
また附帯税の説明においては、重加算税が課されるのか
過少申告加算税でいいのかが重要な論点になります。
現在でも、「確かに附帯税がかかる説明は聞いたが、
重加算税が課されるとは聞いてない」というトラブルが多いので、
この点は改正後も、修正申告提出前に確認すべき事項です。
④納税義務者の同意があれば、税理士に通知することで足りる(通法74の11⑤)
この点は、若干の注意が必要で、税理士から納税者(顧問先)への説明を省略してしまうとトラブルになりかねません。
(つまり、調査官は税理士に伝えれば法律行為を履行したことになります)
(2)更正による理由の附記
改正前は、白色申告者に対する(増額)更正は、
更正通知書に理由の附記が不要でした。
これは、国税における処分では行政手続法の適用が一部除外されていたためです。改正によって行政手続法が適用になりますので、青色申告者のみならず白色申告者であっても理由の附記が必須になります。
これにより、今までは青色申告制度がない、特に相続税において
理由の附記がなされないケースが多く、それによるトラブルも起こっていたのですが、この改正によってこれらのトラブルがなくなることが予想できます。
しかしながら、次は「理由の附記の程度」が問われることも多くなるため、今後は「理由の附記」に対する勉強がより必要になってきます。
なお、「理由の附記」が正しくなされなかった場合には、
以前からと同じく、更正処分が「違法」になりますので、
「理由の附記の程度」を争うケースが多くなることが予想できます。
※2011年12月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は一切受け付けておりませんのでご留意ください。