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2022.04.15

税務調査の種類・類型を理解する

※2021年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に理解する
内容を連載で解説していますが、今回は「税務調査の
種類・類型」等いくつかのパターンを解説します。

税務調査(国税通則法に規定する「調査」)は
対面・臨場をともなうものとは規定されておらず、
電話・書面連絡や税務署への訪問であっても、
税務調査(質問検査権の行使)に分類されることがあります。

まず、税務調査を大きく分類すると、
「調査」と「実地の調査」に分けることができます
(手続き面の違いは別途で取り上げることにします)。

「調査」とは質問検査権を行使した行為全般を指し、
そこには臨場・電話・書面連絡など全てを含みます。
一方「実地の調査」とは臨場をともなうものを指します。

調査手続きを定めた法令解釈通達では、
下記のように規定されています。

4-4(「実地の調査」の意義)
法第74条の9及び法第74条の11に規定する
「実地の調査」とは、国税の調査のうち、当該職員が
納税義務者の支配・管理する場所(事業所等)
等に臨場して質問検査等を行うものをいう。

国税庁の公表資料を見ると、所得税の調査状況においては
「簡易な接触」なるものが税務調査に含まれています。

「令和元事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」
(令和2年11月発表)

簡易な接触とは、「原則、納税者宅等に臨場することなく、
文書、電話による連絡又は来署依頼による面接を行い、
申告内容を是正するもの」とされていることから、
「調査」には含まれるものの、「実地の調査」ではない
という理解になります。

簡易な接触によって、誤り・漏れが発見され、
修正申告を提出した場合、加算税が課されます。
これは、あくまでも「調査」に分類されるからです。

所得税において簡易な接触は、実地調査の約9倍の件数が
実施されていることから、むしろ実地調査よりも
主力な是正方法となっていることがわかります。

また、「実地の調査」(臨場をともなうもの)も
国税内ではいくつかに分類されています。その多くは
「一般調査」ですが、それ以外の分類を挙げておきます。

●特別調査

悪質・高額な脱漏等が見込まれる納税者に対し
実施される調査で、税務署内では一般調査部門のうち
「特調班」が、もしくは「特官」が調査を実施します。

一般的には3人以上の調査官が、1ヵ月以上の
調査期間で実施することが多く、そのほとんどが
無予告調査となっています。

●広域調査

広域担当の調査官は、すべての税務署にいるわけではなく、
中~大規模の税務署にのみ配置されており、その地域にある
(相対的に)小さな税務署を複数管轄しています。

広域が担当する税務調査の最たるものは、
複数の管轄税務署にまたがっている調査事案です。
関係会社が複数あるが管轄が相違するなどの場合、
一斉に調査するのは広域調査に分類されます。

●反面調査(金融機関調査を含む)

反面調査はあくまでも、被調査者の取引先などに実施する
「補完調査」に分類されますが、質問検査権の行使
(の一種)である以上あくまでも税務調査に分類されます
(ですから、受忍義務があります)。

反面調査は臨場をともなう実地調査であることも多いですが、
反面先が多い・管轄税務署から離れている等の理由で、
郵送書面によって実施されることもあります。
書面であっても回答義務はあります。

ここまで数回、税務調査について堅い内容を書いてきましたが、
税務調査なるものを国税通則法をベースに
きちんと理解する前提となる論点だからです。

次回以降から数回は、税務調査でよくある疑問
について取り上げますが、来週は「税務調査を拒否し続けると
税務署はどう対応するのか?」について配信します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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