税務調査の立会いは誰が?
今回のテーマは、『税務調査の立会いは誰が?』です。
「税務調査の立会い=税理士」が当然のように考えられていますが、
法律をきちんと読むとかなり相違することがわかります。
税務調査において納税者が誰に立会いをさせるかは、
質問検査権の受忍義務者(つまり納税者)が判断すべき問題であって、
法律上、立会い者に制限があるわけではありません。
申告書に税務代理権限証書を添付していたとしても、
納税者が申告書の作成・提出ではなく、
税務調査を委任するかどうかは別です。
実際に、税理士がいるにもかかわらず、
税理士に立会いを求めない納税者もいますが、
これはこれで何ら問題ない行為なのです。
ある国税局では、調査官が納税者に税務調査の事前連絡をする際、
税理士の立会いを求めるかを確認しているそうです。
(普通は立会いを求めるのでしょうが…)
つまり、税務調査の立会いを法律的に考えると
4つのパターンが考えられます。
① 納税者に税理士が立会いをする(通常パターン)
② 納税者のみの税務調査
③ 税理士だけの税務調査(税務代理権限があるので可能です)
④ 納税者に第三者が立会いをする
④で1点だけ注意が必要なのは、第三者が立会い、
納税者に代わって主張したり、陳述することがあれば、
それは税務代理行為となり、税理士法違反に抵触します。
つまり第三者が立会っても、一般論を述べることは許されても、
法律上納税者に代わって何かを発言できないのですから注意が必要です。
ここではじめて、税理士法の法律問題になるわけです。
また本来的には、税務調査において納税者が
税理士の立会いを求めた場合、
委任を受けた税理士本人が立会いを求められますが、
実務上、国税側はそこまで厳密に立会いを考えていません。
つまり、税理士事務所の職員であれば、
税理士ではなくても立会いすることが当然だと考えています。
これは、
①委任を受けた税理士が雇用する職員なので、
言動等の責任は当然、税理士事務所にあると考えられること
②上記の通り、税務調査の立会い自体に
法律の明記がない以上、曖昧な部分があること
が理由と考えられます。特に、①を
事務所として担保できるのであれば、
税理士以外(職員)の立会いも問題ありません。
これからの税務調査の最盛期に大事なのは、
職員自体の税務調査スキルのアップに間違いありません。
※2011年7月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。