税務調査の論点を整理する
※2015年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
国税通則法の改正にともない、税務調査の手続きが
明確化され、税理士の対応が大変さもさることながら、
調査官の事務手続きが増えたことも問題視されています。
簡単にいえば、調査官が税務署内で作る書類が
増えたということなのですが、その中でも
重要な書類とされているのが「争点整理表」です。
http://kachiel.jp/sharefile/soutenseirihyou1506021050199.pdf
上記URLの書類は、平成24年3月に東京国税局が
出した内部文書「国税通則法改正に伴い法定化された
税務調査手続等の試行の先行実施について」
の中で載せられている様式です。
これは、要件(記載すべき内容)さえ満たせばよく、
大阪国税局などは横長の様式になっているようです。
本質は何も変わらず、どの国税局管内の
税務署も同じ内容と思っていただいて結構です。
さて、この「争点整理表」を見ると、調査官が
何をどう記載しなければならないかわかるため、
調査の論点をどう整理すべきか理解できます。
「争点整理表」は下記の【順番で】作成するよう
国税内で指示が出されています。
(参考:「課税処分に当たっての留意点」
大阪国税局 平成25年4月 等)
①法令解釈(法的根拠)
②事実認定(証拠の収集)
③課税要件の当てはめ
私は毎日のように税務調査の相談・質問を受けていますが、
この①と②の切り分けができておらず、論点が
ごっちゃになってしまっている事案をよく見かけます。
また、調査官の中には、課税をするために
③から考えて②を探し、①を意地でも考える、
という担当もいますが、これは調査として誤りです。
あくまでも、法的根拠があって、それに当てはまる
事実があるから、課税という結果になるわけです。
特に、①と②の論点をきちんと切り分けできれば、
税務調査の論点は整理しやすくなります。
①がない、または①を明示しない調査官も
多々いますが、調査内で上記を整理しておけば、
根拠条文を調査官に明示させるという
基本を忘れることはないものと思います。
さらに大事な論点は、国税の内部通達等には
きちんと載っているのですが、②においては
立証責任は国税側にあるということです。
例えば、「課税処分に当たっての留意点」
(大阪国税局 平成25年4月)の3ページには、
「税務当局が認定した事実及び主張する事実については、
全てその根拠(証拠)が必要であり、税務当局側が
立証責任を負うこととなる。」
と明記されています。繰り返しますが、
国税の内部文書に明記されているのです。
国税が否認指摘をするポイントはすべて
国税側に立証責任があるわけですから、
立証責任を納税者に転換させないことが重要です。
税務調査が進み、指摘箇所が増えてくると
個別論点が整理できないことが多々あります。
調査官の整理の方法をそのまま
真似てみることが効果的です。
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