税務調査の過程で【問題】があったら誰に文句を言うべきか?
※2021年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
税務調査でよくある質問・相談として、
「税務調査で問題があって、こちらの主張を繰り返しても
まともに取り合ってくれず、一向に話が進まない場合は、
誰に話を持っていくべきか?」というものがあります。
税務調査関連の書籍などを読むと、「税務署長に
直接抗議するなどトップダウン式の解決法は対立関係を
あおることから避けた方がいい」という見解も
あるようですが、私はまったく逆だと考えています。
国税は徹底したヒエラルキー組織であって、
役職と権限が明確であり、かつ役職が上(上司など)の
指示・判断にはきちんと従う組織だからです。
また、役職が上にいけばいくほど責任をとる立場である
ことから、問題に対して過敏であることが通常です。
税務調査の現場で起きている問題に関しても、
上に言えばすぐに収まるということはよくあって、
私はむしろ、上に言ったから問題が大きくなった、
現場で対立関係が深刻化した事案を見たことがありません。
まず、調査官に話が通じない場合、相手方を統括官に
変えることになります。調査官の直属上司です。
ただ、統括官にも話が通じないというケースもあります。
先日あった調査事案は下記のようなものです。
・調査開始時より経理関係の資料を税務署に預けた
(社長の時間が取れないことから留置きに応じた)
・資料返還時に統括官より、調査対象期間を
もう1期追加したい旨の申し出を受けた
・調査対象期間に継続的な非違事項があるわけではない
・法令や通達など根拠を明示したうえで反論
・主張内容を文書にして税務署に郵送で提出
・統括官は明確な反論をしないまま、調査期間の
延伸を実施しようとしている(聞く耳をもたない)
このようなケースで考えるべきことは、
まず統括官の上司は誰か、もしくは役職が上の
権限者は誰かということです。
統括官の直属の上司は「副署長」であることから、
1つの方法としては副署長に連絡をすることでしょう。
また、立会いしている税理士がクレームをいれる場合、
税務署では税理士を管轄するのが総務課長
(もしくは総務課長補佐)であることから、
総務課長に連絡するというのも有効な相手方です。
特に上記事案のように、税務判断・法令解釈ではなく
調査の手続きに関する疑義などであれば、
総務課長の対応の方が効果的かもしれません。
総務課長は税理士からのクレームに敏感ですから。
もちろん、もう1つの方法として、税務署の
トップである税務署長に直接掛け合うというのも
有効であることは間違いありません。
これもあえていうなら、副署長・総務課長に対して
クレームを入れても是正されない場合の最後の手段
としておく方がいいかもしれません。
税務調査の対応に困った・話が通じない場合は、
「その上司が誰か?」を考えて行動してください。
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