税務調査までにやるべきこと
税務調査の予約が入れば、顧問先と事前に
打合せする税理士事務所が多いようです。
また、調査官に提示する資料の整理や、申告書に一通り
目を通すくらいのことは誰しもがやっているはずです。
税務調査の事前対策というのは個人的にあまり好きではありません。
なぜなら、事前にできることなど限られていますし、
事前に何かやるくらいなら、普段から
やっておくべきでしょう、と考えているからです。
ただし、税務調査の前に税理士として「絶対に」
やっておくべきことが1つだけあります。
しかもほとんどの税理士がやっていないことです。
それは、経営者に「脱税していないか確認すること」です。
事前の打合せでは、
「私(税理士)に言っていないことはありませんか?」
「売上を抜いているとか架空経費があるなら
今のうちに正直に言ってください」
と経営者に伝えることです。
なぜなら、税務調査の予約段階でも、
着手(初日)前であれば、修正申告書を提出しても
過少申告加算税がかからないからです。
ということは、本当に脱税していても、
重加算税はかかりません。(延滞税はかかります)
国税通則法第68条(過少申告加算税)の第5項には
次のように規定されています。
「第1項の規定は、修正申告書の提出があつた場合において、その提出が、
その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について
更正があるべきことを予知してされたものでないときは、適用しない。」
ものすごくわかりにくい規定(文章)ですが、
簡単に書くとこういうことです。
「自分で誤りに気付いて自分で修正申告すれば
過少申告加算税は課しませんよ」
税務調査で調査官に誤りを指摘されて
修正申告を提出すれば加算税はかかりますが、
自主修正なら加算税が課されないというわけです。
では「どこまでのタイミングで提出した
修正申告が自主扱いになるのか?」ここがポイントです。
この点については、事務運営指針に記載があります。
「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/hojin/000703/01.htm
第1 過少申告加算税の取扱い
(修正申告書の提出が更正があるべきことを予知してされたと認められる場合)
2 通則法第65条第5項の規定を適用する場合において、その法人に対する臨場調査、
その法人の取引先の反面調査又はその法人の申告書の内容を検討した上での
非違事項の指摘等により、当該法人が調査のあったことを了知したと認められた後に
修正申告書が提出された場合の当該修正申告書の提出は、原則として、
同項に規定する「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当する。
(注) 臨場のための日時の連絡を行った段階で修正申告書が提出された場合には、
原則として「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当しない。
最後の注書きがポイントです。再度書きますが、
「税務調査の予約段階でも、着手(初日)前であれば、
修正申告書を提出しても過少申告加算税がかかりません。」
これは他の税目も同じで、
各事務運営指針を確認していただければわかります。
「申告所得税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/shotoku/shinkoku/000703/01.htm
「消費税及び地方消費税の更正等及び加算税の取扱い について(事務運営指針)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/shozei/010329-2/01.htm
「相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sozoku/000703/01.htm
過少申告加算税が課されないということは
重加算税も課されませんし、重加算税がなければ
延滞税も除斥期間がありますから安くなります。
これだけでも、税務調査の事前にやっていただきたいものです。
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2012年11月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。