税務調査を録音しないがために起こるトラブル
※2016年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
つい先日、弊社が運営する税務調査の質問ができる
メーリングリスト(習得会)で、下記のような
内容がありました(あえてざっくり書きます)。
(1)取引先に対して支給した交通費について、
支払の事実が確認できないため否認指摘を受けた
(2)調査官は取引先に対して反面調査を実施
(3)調査官は「取引先すべてに確認したところ、
交通費の支給を受けていないと言っている」と主張した
(4)納税者がすべての取引先に電話確認したところ、
全員が「税務署からのそのような問い合わせはない」
と言っている
(5)この事実を調査官に主張したところ、調査官は
「全員とは言っていない」と反論
(6)では、誰に確認したのか名前を明示するよう
問い詰めても、「名前は明かせない」との回答のみ
(7)上記(3)の際に、税理士の立会いはなく、職員と
納税者だけが聞いていた状況で、録音はない
私は個人的に、この調査官がいう「反面調査の実施」は、
(3)のみならず(5)までも(つまりすべて)ウソだと思います。
しかし・・・です。
少なくとも(3)と発言したかどうかについては、
録音がない限り、これ以上突き詰めても
「言った言わない」の水かけ論にしかなりません。
「一部」だけがウソであっても、調査官が
名前を明かさない限り、ウソとはバレません。
もちろんのこと、調査官がウソをついた、という
ことであれば、決定的に信義則に反するため、
税務調査の中止・打ち切りを要求することができます。
このような状況が実際に起こり得るからこそ、
私は本メルマガで以前から繰り返し伝えていますが、
【税務調査は録音すべき】なのです。
なお、相手方(調査官)の承諾を得ずに
録音することを「秘密録音」と言いますが、
この行為は過去の判決等を見ても、
著しく公序良俗に反しない限り、認められています。
調査官は、たとえウソを言ったとしても、
録音さえなければ「言っていません」
「そういう意味で言ったのではありません」
など、いくらでも逃げることができるのです。
何も揚げ足を取ってまで、調査を有利に進めるなど
という姑息なことが目的でありません。
調査官がウソをついたときに、顧問先を守れますか?
ただ、これだけです。
以前であればICレコーダーを推奨していましたが、
今ではスマホで簡単に高音質録音が可能です。
机の上にあっても、完璧に自然な感じです。
また、スマホを使うなら、調査の録音中は
機内モードにしておくことをオススメします。
電話が入って録音が途絶えることもありません。
「録音しておけばよかった」では遅いのです。
ぜひ、税務調査は常に録音してください。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。