税務調査アンケートからわかること①
※2015年3月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
今回と次回のブログでは、
2014年12月に「東京税理士会」において公表された、
「税務調査アンケート」の結果をもとに、
最近の税務調査の傾向を分析してみたいと思います。
なお、このアンケートは、東京税理士会業務対策部
で毎年行われているもので、今回は下記が対象です。
対象期間:平成25年7月1日~平成26年6月30日
回答数:1,658件(回答率:27.6%)
(発送件数:6,000件をランダム)
大事な項目をピックアップし、解説を加えていきましょう。
(1)事前通知の有無(全税目対象)
税務調査の総件数:2,062件 のうち
無予告調査:83件 (4.0%)
さすがに、無予告調査の割合も減ってきたのでしょう。
以前は国税庁HPによると、法人1割・個人事業主2割
で無予告調査が行われていたようですので。
無予告調査:83件 のうち
「臨場後、速やかに説明がなされた後調査が開始された」
件数:67件 そうでない件数:16件
「そうでない」事案の中には、
「納税者本人がいないままで調査が進められた」
「調査目的を明らかにしなかった」
など、納税者の協力がないまま調査が開始された
事案があったようです。
今一度確認をしておきますが、無予告調査には
法的要件が存在します。
国税通則法第74条の10、および
「国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の
制定について(法令解釈通達)」4-7~4―10
までを確認の上、「どの要件に該当するから
無予告調査(事前通知がない)のか」確認が必要です。
(2)反面調査
件数:261件 のうち
反面調査である旨の明示:164件(62.8%)
この件数は、調査の過程としての反面調査なのか、
反面調査先が顧問先だったのか判然としませんが・・・
「調査で反面調査に行かれた」ということであれば
全調査のうち10%程度ということになります。
反面調査は法律・通達に要件規定がないため、
現実的には税務署の裁量になっていることが
多いですが、内部規則では要件が明示されています。
例えば、「税務調査手続等に関するFAQ」
(職員用、平成24年11月 国税庁法人課税課)
においては、下記のように明記されています。
「反面調査については、取引先等の反面調査を
実施しなければ納税義務者の適正な
課税標準等を把握することができないと
認められる場合に限り行うこととしている。」
として、反面調査の「必要性」を定めています。
税務署がどんな場合でも反面調査が実施できる
わけではない、ということに注意してください。
(3)調査結果
①申告是認:595件(29.5%)
この数字は、国税庁が発表している調査事績と
ほぼ合致しているため、このアンケートが
かなり精緻な数字であることを物語っています。
②修正申告:1,372件(68.1%)
このアンケートの中で面白いのは、
修正申告1,372件のうち、48件(3.5%)
は「不満があった」と回答されています。
調査官からの提示に不満があるなら、
修正申告をしてはなりません。
③更正:47件(2.3%) のうち
不服申立てをしたもの:5件
となっており、更正の割合は低いこと、そして
更正をされても不服申立てまでは
なかなかしていない現実が浮かび上がります。
(4)重加算税
修正申告もしくは更正のうち、重加算税賦課割合
:28.4%
調査全体を母数とすると、20%をきる数字と
なっており、こちらも国税庁発表の数字と
だいたい似ていることがわかります。
また、こちらも重加算税のうち
「納得できないもの」が13件(1.3%)あり、
重加算税を対象に不服申立てしているのか不明ですが、
本税部分は(納得して)修正申告をしても、
【重加算税だけで不服申立てできる】という
事実を知らない税理士が多いのかもしれません。
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