税務調査アンケートからわかること②
※2015年3月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
先週から引続き、昨年12月「東京税理士界」で公表された、「税務調査アンケート」の結果をもとに、最近の税務調査の傾向を分析してみたいと思います。
(1)調査日数
全税目で集計した割合は、調査日数別に
1日:20.1%
2日:45.2%
3~4日:20.3%
5日以上:14.4%
となっています。
(2)調査内容
税務調査において、具体的に何を調査されたのかを示すデータがなかなか面白く、
机・書庫・金庫:11.2%
パソコン等:11.0%
名刺・認印・電話帳等:3.2%
となっています。
私がよく質問されることですが、調査において調査官に直接パソコンを触らせる必要はありません。
下記を明示して、「見たいものがあれば画面に出しますし、印刷します」と主張してください。
https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm#a05
税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)
問5 提示・提出を求められた帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、どのような方法で提示・提出すればよいのでしょうか。
帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、提示については、その内容をディスプレイの画面上で調査担当者が確認し得る状態にしてお示しいただくこととなります。一方、提出については、通常は、電磁的記録を調査担当者が確認し得る状態でプリントアウトしたものをお渡しいただくこととなります。
また、「帳簿書類等以外に提出した情報」というアンケートの中には、コピーの他に、「USBメモリ」「パソコンの直接操作」があり、今でも多数の納税者・税理士が、調査官にパソコンを直接触らせ、かつデータを抜かれている実態が浮き彫りになっています。
上記FAQ回答の続きには、
電磁的記録そのものを提出いただく必要がある場合には、調査担当者が持参した電磁的記録媒体への記録の保存(コピー)をお願いする場合もありますので、ご協力をお願いします。
と書かれており、データのコピーはあくまでも納税者の任意であることが明記されており、【断ることができる】ということは覚えておくべきです。
(3)留置き
留置きの実施は、全体の「40.8%」となっており、「預かる必要性の説明があり、提出者の理解と協力の下、その承諾を得て行われたか」という質問には、「得られなかった」が3.8%存在しています。
留置きについては、私が書いているコラムにまとめていますので、こちらをご覧ください。
http://www.tabisland.ne.jp/inquiry/column/column_14.htm
(4)書面添付
【法人税(消費税を含む)】
書面添付件数:3,300件
意見聴取件数:103件
意見聴取後の調査移行件数:36件
となっており、なんと
省略率:65.1%
(実地調査移行率:34.9%)
となっていることがわかります。
意見聴取を経た省略率は、年々上がっているようですが、少なくとも東京国税局管内では、60%を超えています。
一方で、
意見聴取がないままの税務調査の件数:10件
となっており、書面添付をしても(意見聴取を経ない)無予告調査が一定割合あることも見逃せません。
同じ項目を他税目でも見てみると、
【所得税(消費税を含む)】
書面添付件数:889件
意見聴取件数:10件
意見聴取後の調査移行件数:1件
となっており、母数が少ないこともありますが、
省略率:90.0%
(実地調査移行率:10.0%)
であることがわかります。
意見聴取がないままの税務調査の件数:1件
【相続税・贈与税】
書面添付件数:261件
意見聴取件数:20件
意見聴取後の調査移行件数:5件
となっており、こちらも数字的には高くて、
省略率:75.0%
(実地調査移行率:25.0%)
となっていることがわかります。
相続の場合、無予告調査が少ないこともあり、
意見聴取がないままの税務調査の件数:0件
となっています。
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