税務調査終了の際の手続き(是認編)
※2021年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に理解する
内容を連載で解説していますが、今回から複数回に分けて
税務調査が終了となる際の手続きに関して解説します。
さて、事前通知から始まる税務調査が終了を迎えるのは、
法的手続きとして3つの類型に分かれます。
これは国税通則法第74条の11第1~3項において
明確に規定されていますので、裏を返すと
下記3パターン以外は調査が終了したことになりません。
1 是認
2 更正
3 修正申告
今回のメルマガでは「是認」について解説しますが、
更正・修正申告については来週以降に取り上げます。
実務上使われる「是認」という用語は、正確に言えば
「更正決定等をすべきと認められない」場合です。
法律規定を確認してみましょう(カッコ書きを除く)。
国税通則法第74条の11第1項
税務署長等は、国税に関する実地の調査を行った結果、
更正決定等をすべきと認められない場合には、
納税義務者であって当該調査において質問検査等の
相手方となった者に対し、その時点において更正決定等を
すべきと認められない旨を書面により通知するものとする。
「是認の場合は是認通知書を出しますよ」が全体として
シンプルな理解なのですが、是認について実務上
勘違いされやすい注意点を2点挙げておきます。
●実地の調査以外の調査の場合、是認通知は出ない
上記の法律規定では「実地の調査を行った結果」と
ありますので、調査官の臨場をともなう税務調査で、
是認となった場合は是認通知書が出されるわけです。
一方で、実地の調査以外の(臨場がない)調査で、
是認となっても是認通知書は出ないのが原則です。
※「調査」と「実地の調査」の違いについては、
今年4月16日配信「税務調査の種類・類型を理解する」
もしくは下記の記事を参照してください。
この点は、下記の事務運営指針にも規定があります。
「調査手続の実施に当たっての基本的な
考え方等について(事務運営指針)」
第2章 4 (1)注書き
実地の調査以外の調査において納税義務者に対し
質問検査等を行い、その結果、調査の対象となった
全ての税目、課税期間について更正決定等をすべきと
認められない場合には、更正決定等をすべきと
認められない旨の通知は行わないが、調査が
終了した際には、調査が終了した旨を口頭により
当該納税義務者に連絡することに留意する。
●「指導に留める」でも是認通知書は出る
税務調査において、本来は誤りがあるものの、
誤り自体が軽微・税額が過少などの理由により
調査官から「指導に留める」と判断されて、
修正申告を提出しなくていいケースがあります。
この実務上の取扱いを間違っている調査官も
多いのですが、あくまでも法的な手続きでいえば
更正・修正申告以外の結果は是認に該当する
という理解になりますので、確かに
納税者・税理士が認める誤りがあったとしても、
「指導に留める」となった以上、税務署は
是認通知書を発行することになります。
これが原則論なのですが、実務論としては
別にありますので、詳しくは今年6月16日に
配信した「税務調査で「指導に留める」は
是認通知書が出ないのか?」をお読みください。
来週金曜の本メルマガでは、税務調査において
誤りがあった場合の規定(更正もしくは修正申告)
について解説します。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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