税務CGによる調査判定の現実
※2015年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
数年前からメディアや税務専門誌でも取り上げられている「税務CG」。
CGとは「コーポレートガバナンス」の略称で、
税務CGとは、法人内で税務におけるガバナンスが
発揮されているのかを確認し、過去の調査結果を踏まえ、
調査の必要性が低い、と国税が判断すれば、
次回の税務調査を「省略」することを指しています。
導入が話題になった当初は、東京国税局所管の大企業
(数百社のみ)が対象になるとの話でした。
1年半前の、東京国税局長の記事はこちらです。
http://www.lotus21.co.jp/ta/1308hlbf/511_10.pdf
イメージ的には、書面添付でしょうか。
税務CGになると、そのまま調査省略にするか、
国税に不明点等があれば、納税者が「自主的な開示」
をして、解消されれば調査省略になるようです。
このような施策が導入される背景として、
税務調査(実地調査)の件数が減っている
⇒ 調査すべき対象者を減らす
⇒ より効率的な税務調査を実施する
というものですが、この影響が現時点で
どこまであるのでしょうか?
疑問に思ったので、現職の調査官に聞いてみました。
ポイントは下記です。
・各国税局・調査部調査管理課に税務CG担当がいる
・国税局では、過去不正がないことなど、
一定の条件を満たした際には税務CGが認められる
・ただし、税務署の特官部門にもまだ詳細はきていない
(早くとも税務署での導入は今年7月以降)
現時点での結論しては、税務署レベルでは
まだ先の話ではありますが、国税局管轄では
(一部でしょうが)すでに影響があるようです。
さて、昨年7月から今年6月まで(平成26事務年度)
の調査の方向性を決める、内部通達がありますので、
その一部を転載します。
「平成26事務年度における調査課事務の運営
に当たり特に留意すべき事項について(指示)」
(平成26年6月25日 査調2-15ほか15課 国税庁長官)
2 適正な調査の実施
(1) 調査内容の充実に向けた取組
イ 組織的・継続的な納税者の管理等
的確な調査選定及び適正な調査事務量配分を
行う観点から、有効な資料情報の収集・分析に加え、
オーナーや親会社の影響力など法人の特性、
企業のICT化の状況、海外取引や組織再編と
いった事業活動の内容、否認事項の改善状況や
調査協力度などの税務に関するコーポレート
ガバナンスの状況等の情報を集積し、
法人の態様に応じた的確な質的管理に努め、
納税者管理区分の適切な運用を図る。(以下、略)
これが、上記の税務CGにつながる内容です。
そして、下記が現実論(今までの延長線上)です。
ハ 重点化を通じた深度ある調査
(ロ) 重点調査の実施
一般部門において通常の調査日数・調査方法では
問題点の把握・解明が困難な事案については、
所要の準備調査日数を確保して重点調査項目を
明確化した上、これに応じた調査体制の整備とともに、
統括官の的確な進行管理の下、適切な調査展開を図りつつ、
新たな視点から課税上の問題事項の把握に努める。
ここは、業種における選定や、重加算税の
過去事績を重んじる考え方になります。
税務CGについては、まだ税務署レベルまで
運用がされていませんが、今後注目されるであろう
施策になりますので、知っておいて損はありません。
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