税理士事務所の職員だけで調査立会いはできるのか?
※2018年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
実務上、税理士事務所または税理士法人の職員
(税理士登録なし)が税務調査の立会いをする
ことは、一般的に行われている行為といえます。
一方で、これは「法的には」どうなのか?
という疑問を持っている税理士も多いと思います。
先日、下記の質問がありました。
〇否認指摘に対する反論内容を整理して
書面にて提出することにした
〇調査担当者は「書面で提出または口頭でも
いいが、口頭であるならば税理士の者からで
ないと受け付けない」と主張した
〇この調査官の主張は正しいのか?
さて、まずは法律を取り上げます。
税理士法第2条第1条第1項(抜粋)
「税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、
次に掲げる事務を行うことを業とする。」
「税務代理につき、又は当該申告等若しくは
税務官公署の調査若しくは処分に関し
税務官公署に対してする主張若しくは
陳述につき、代理し、又は代行すること」
ここに明記されているとおり、
税務調査の立会い(税務代理)は
税理士の独占業務であって、職員が
税務代理(調査官に主張するなど)は
許されないことがわかります。
職員が税務調査に立会うことができるとすると、
厳密には下記のような解釈になります。
税理士(所長・代表社員)
⇒
職員に調査立会いを任せる
⇒
職員の発言等はすべて税理士の
発言と同じ効力をもつものと類推
こういった意味においては、
調査初日の午前中だけ税理士が立会い、
「あとは担当職員に任せますね」
と調査官に言ってからいなくなることは
(厳密にはダメかもしれませんが)
上記の解釈に沿った行為と言えるでしょう。
このあたりは、国税も厳密な法適用は
求めていないからこそ、実際のところ
職員だけの調査立会いを事実上・実務上
認めている、ということでしょう。
(そうしなければ、税理士が多忙に
なり過ぎて調査立会いができないなど)
ただ、上記の質問内容にあるように、
調査官側から「主張・反論するなら
(職員ではなく)税理士でお願いします」
と言われてしまうと、「はい、確かに」
となってしまいます。
税務調査の立会いを職員がすることは、
法的にはグレーな部分であることを
認識した方がいいでしょう。
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