税額が減るのに更正の請求ができない!?
今回は「更正の請求の要件」についてお伝えします。
まず、法令を確認してみましょう。
国税通則法第23条(更正の請求)
納税申告書を提出した者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、当該申告書に係る国税の法定申告期限から五年
(第二号に掲げる場合のうち法人税に係る場合については、九年)
以内に限り、税務署長に対し、その申告に係る課税標準等又は税額等
があつた場合には、当該更正後の課税標準等又は税額等)につき
更正をすべき旨の請求をすることができる。
一 当該申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が
国税に関する法律の規定に従つていなかつたこと又は当該計算に誤りがあつたことにより、当該申告書の提出により納付すべき税額
(当該税額に関し更正があつた場合には、当該更正後の税額)が過大であるとき。
とされており、更正の請求をするには、
①法律の規定に従っていなかった場合
②計算誤りがあった場合
のどちらかに該当しなければなりません。
つまり、結果として税額が減るのだとしても、
正しい処理方法から正しい処理方法への変更は、
更正の請求では認められないというわけです。
「正当な処理だと還付できない?」でも書いたとおり、
不動産を取得した場合、付随費用については法人税基本通達で
規定されているとおり、不動産取得税や登録免許税を
損金計上することが「できます」。
これは「できる」であって、付随費用を取得費に
含めてB/S計上することが「できます」。
損金計上することもB/S計上も、
両方正しい税務処理になります。
ですから、いったんB/S計上しておいて、
後から更正の請求で損金計上することはできません。
なぜなら①か②の要件を満たしていないからです。
簡単にいえば、正しい処理から正しい処理への
変更をすることでの更正の請求ができないのです。
他にも、例えば消費税の計算において、
一度選択した個別対応方式から一括比例配分方式への
変更なども、同じく更正の請求はできません。
なお、この消費税の適用変更は通達上では
修正申告においても変更できないとされています。
消費税法基本通達15-2-7
(注) 事業者が既に提出している確定申告書において、
個別対応方式又は一括比例配分方式のいずれかの計算方式により
仕入控除税額を計算した場合には、当該申告について
通則法第19条第3項《修正申告》に規定する修正申告書を提出する
ときにおいても、当該確定申告書で選択した計算方式により
仕入控除税額を計算することとなるのであるから留意する。
少し話は逸れましたが、更正の請求の要件と、
当初申告要件の(一部)廃止と混同している
方が多いのではないでしょうか。
「当初申告要件が廃止された措置」
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/encho/haishi_sochi.htm
まとまっているのは、こちらです。
「更正の請求の改正のあらまし」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sonota/h23koseiaramashi.pdf
当初申告要件が廃止された措置については、
当初申告で適用しなかった場合でも、
更正の請求ができるということです。
しかし、あくまでも更正の請求には
2要件があることには変わりはありません。
更正の請求は期間が延びたので活用する機会が
増えたと思いますが、更正の請求をする場合は、
上記2要件のどちらかを理由(根拠)に
税務署に提出しなければならないのです。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
※2013年12月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。