2016.03.08

納税の猶予

こんにちは。日本中央税理士法人の見田村元宣です。

さて、今回は「納税の猶予」について、解説しますが、裁決等ではなく、

この制度そのものについて、解説をしていきます。

国税通則法46条には「納税の猶予」という制度が定められており、

① 災害により相当な損失を受けた場合

② 災害等に基づく場合

③ 確定申告等が遅延した場合

には、一定の要件の下、「納税の猶予」を受けられることになっています。

この制度はあまり知られていませんでしたが、「修正申告等について」という

教示文に「修正申告書等の提出がその法定申告期限から1年を経過した日

以後にされた場合で、その修正申告等により新たに確定した部分の税額につき、

一時に納付することができない理由があると認められること、その修正申告書等

の提出日までに申請があることなどの一定の要件を満たす場合は、その納付

することができないと認められる金額を限度として、その納期限から1年以内

の期間を限り、納税の猶予が受けられます。」と記載があることから、多くの

税理士の知るところとなりました。

参考:教示文とは
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sonota/120912/
 

しかし、ここを正確に理解していない方も多いかと思いますので、

特に重要な上記③を取り上げます。

申告納税方式による国税(その附帯税を含む)の場合、その国税の納期限内に

された納税者の申請に基づき、その法定申告期限から1年を経過した日以後に

納付すべき税額が確定した場合における当該確定した部分の税額の納税を

猶予してもらえるケースがあります。

だから、

○ 長年、無申告だった納税者に税務調査があり、複数年の期限後申告をし、

  多額の税額が課されることになった

○ 顧問先に税務調査があり、修正申告書を提出することになったが、

  資金繰りが厳しく、納税の目途が立たない

という場合、「納税の猶予」の申請をするべきなのです。

しかし、多くの場合は期限後申告書を出し、修正申告書を出し、そして、

「単なる延滞」という状況になり、分割納付の交渉を徴収部門とするだけに

なっているでしょう。

しかし、「法定申告期限から1年を経過した日以後に納付すべき税額が確定」

した場合(期限後申告、修正申告等)には、「納税の猶予」をすることが

できるのです。

https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/nozei-shomei/pdf/24200001a-2.pdf

http://www.tochizei.or.jp/kurashi/kurashi24-12.html

もちろん、認められる認められないは別問題ですが、少なくとも、この制度

を正確に理解し、顧問先がそういう状況に陥ったら、これを申請することも

検討すべきなのです。

ちなみに、これが認められた場合は延滞税の減免もあります。

結果、国税通則法46条、国税通則法施行令14条、該当通達をよく読み、

正確な理解をしていくことが大切でしょう。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/chosyu/760603/02s/01.htm(2016年3月現在リンク切れ)

 

税務調査が終わり、修正申告や期限後申告に至ったケースもありますが、

申請すべきであったのに、申請しなかった(知らなかった)ということも

多いでしょう。

その顧問先がそうなった原因はともかく、この制度を正確に知っておくことが

顧問先を助ける結果にもつながる場合もあります。

是非、この制度を正確に理解しておいてください。

 

※2014年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

 

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