2015.11.09

納税者支援調整官とは?

2013年あった税務調査の個別相談の中では、
明らかに「行き過ぎた」税務調査のため、
税務署に抗議を行った事案が3件ありました。

・反面調査に行かないと明言していたにも関わらず、
 取引先に無予告で反面が行われた

・調査官の高圧的な言動がヒドかった

・税理士がいないところで納税者に脅しの発言をした

このうち2事案は、私に相談がある前に、
税理士が「納税者支援調整官」に抗議をしたが
一向に改善されなかったというものがありました。

「納税者支援調整官」なる職種は、いったいどのようなもので、
税務署内でどのような機能をし、はたして効果があるのでしょうか。

納税者支援調整官は、平成13年に新設されたポストで、
すべての税務署に配置されているわけではありません。

また税務署内では、独立したポストということながら、
1統括のもとに配置されている機関でもあります。

納税者支援調整官はその名の通り、
納税者からの「苦情受付係り」であり、
その職務内容・機能等については、事務運営指針が
定められていますので、詳細はそちらをお読みください。

※この事務運営指針は、サイトなどで公開されていませんので、
 全文をコピペして本メルマガの最後に載せておきます

結論からすると、納税者支援調整官は
苦情を受け付けてくれますが、調査部門に対する
何か権限・権力があるわけではありません。

ですから、税務署の内部事情もしくは過去の経験から考えても、
納税者支援調整官に抗議をするだけ「ムダ」です。

正直なところ、納税者支援調整官が
機能しているところを見たことがありません。

「税務調査と質問検査権の法知識」(清文社 安部和彦著)
の177ページ~においても、納税者支援調整官が
実質的に機能していないということが書かれています。

ちなみに、安部先生は元国税の税理士で、
法律と実務の両面から素晴らしい著書を多数出されています。

税務調査において、調査官の対応等が
明らかに悪い場合は、納税者支援調整官ではなく、
担当の統括官に抗議をすべきです。

また、統括官に抗議しても一向に状況が改善されない場合
(実際のこのようなケースもあります)、
税務署長宛に書面を送るのが効果的です。

ここまでしないと改善されないこと自体が問題だと
思いますが、実際個別相談の中でも
ここまでした事案が2つありました。

参考になれば幸いです。

「納税者支援調整官の事務運営について(事務運営指針)」
 標題のことについては、下記のとおり定めたから、平成13年7月10日以降はこれに
より適切に運営されたい。
(理由)
 財務省組織規則の一部を改正する省令(平成13年財務省令第47号)により、各国税
局に納税者支援調整官が新設されることとなったことに伴い、その職の事務運営の基本的
事項を定めたものである。

         記

1 用語の定義
  この事務運営指針において用いる次の各号に掲げる用語は、当該各号に定めるところ
 による。
 (1) 苦情
     納税者から寄せられた国税局(沖縄国税事務所を含む。以下同じ。)及び税務
    署の長又はその職員がした処分(不作為及び事実行為を含む。)、当該職員の職
    務の執行その他の税務一般に関する苦情をいう。
 (2) 局納税者支援調整官
     国税局に配置する納税者支援調整官をいう。
 (3) 税務署派遣納税者支援調整官
     税務署に派遣配置する納税者支援調整官をいう。

2 納税者支援調整官の任務
  税務行政の運営に当たっては、申告納税制度が円滑に機能するよう、適正かつ公平な
 課税の実現に努め、納税者の理解と信頼を得ることが基本である。
  納税者支援調整官は、このような税務行政運営の基本的な考え方を踏まえ、納税者か
 ら寄せられた苦情及び困りごとについて、この事務運営指針に則り、納税者の立場に立
 って迅速かつ的確に対応し、もって税務行政に対する納税者の理解と信頼を確保するこ
 とを任務とする。

3 納税者支援調整官の定数等
 (1) 納税者支援調整官の国税局別の定数は、別表1に掲げるとおりとする。
 (2) 局納税者支援調整官は、各国税局の総務部総務課に配置することとして運用す
    る。
 (3) 税務署派遣納税者支援調整官の派遣先の税務署は別表2に掲げるとおりとし、
    それぞれ各1人を配置する。

4 納税者支援調整官の職務
  納税者支援調整官は、財務省組織規則(平成13年財務省令第1号)第466条の2
 第2項の規定に基づき、次の各号に掲げる事務を処理するものとする。
 (1) 税務署派遣納税者支援調整官の職務
     税務署派遣納税者支援調整官は、次に掲げる事務(税務相談官の処理するもの
    を除く。)を処理する。
    イ 納税者から申出のあった苦情について、当該納税者が適正かつ円滑に納税義
     務を履行するために必要な助言を行うこと。
    ロ 国税に関する法律に基づく処分に不満を持つ納税者に対し、不服申立てその
     他の国税に関する法令等に定める権利救済手続の教示を行うこと。
    ハ 担当者が不明な苦情及び困りごとの窓口となること。
    ニ イからハまでに掲げる事務に関し、必要な調整を行うこと。
 (2) 局納税者支援調整官は、次に掲げる事務(税務相談官の処理するものを除く。
    )を処理する。
    イ 税務署派遣納税者支援調整官の処理する事務の総括に関すること。
    ロ 国税局の所掌に係る(1)のイからニまでに掲げる事務

5 納税者支援調整官の下に配置する職員
  当分の間、納税者支援調整官の下には職員を配置しないものとする。

6 税務署派遣納税者支援調整官の具体的な苦情関係事務
 (1) 税務署派遣納税者支援調整官は、納税者から苦情の申出を受けた場合には、納
    税者の視点に立った適切な助言及び教示に心掛け、当該苦情について次の要領に
    より処理することを基本とする。
    イ 納税者から苦情の内容を懇切かつ丁寧に聴取する。
    ロ イの聴取内容に基づき、速やかに担当者及びその上司である管理者(以下「
     管理者等」という。)から事情を聴取するなど事実関係を確認する。
    ハ ロにより確認した結果を当該納税者へ迅速かつ正確に説明し、円満な解決に
     努める。
    ニ ハによっても当該苦情の処理が完結しない場合には、管理者等との面会の機
     会の措置、派遣先税務署の幹部による対応の調整など必要な措置を講ずる。
    ホ イからニまでに掲げる事務処理に関し、局納税者支援調整官及び派遣先税務
     署の総務課長と綿密な調整を行う。
      なお、苦情事案については、その処理が完結するまで常にフォローアップす
     ることに努める。
    ヘ 派遣先税務署以外の税務署又は国税局の所掌に関する苦情については、イの
     聴取を行った上で迅速かつ的確に所管税務署の総務課長又は局納税者支援調整
     官に引き継ぐとともに、その旨を当該納税者に連絡する。
      なお、所管税務署に引き継いだ場合には、併せて局納税者支援調整官にその
     旨を連絡することに留意する。
 (2) 税務署派遣納税者支援調整官は、納税者から苦情の申出がなされた日から原則
    として3日以内(祝日、休日等を除く。以下同じ。)に当該苦情を処理(3日以
    内の処理が困難な場合は、当面の処理方針を決定の上、当該納税者に対し速やか
    に連絡)するよう努めるものとする。
 (3) 税務署派遣納税者支援調整官は、苦情処理の経緯及びてん末について、処理の
    進展の都度、別紙1(苦情事案整理票(納税者支援調整官整理用))の様式によ
    り整理するとともに、その内容を局納税者支援調整官を経由して国税局総務部総
    務課長に報告する(報告体制については別紙2(納税者支援調整官報告等体制図
    )参照。)。
 (4) 税務署派遣納税者支援調整官は、派遣先税務署の苦情処理に関連し、派遣先税
    務署長に対し随時意見を具申することができる。
 (5) 税務署派遣納税者支援調整官は、必要に応じて、苦情の未然防止等のための職
    員研修を派遣先税務署の職員に対して実施する。
 (6) 納税者支援調整官が派遣配置されない税務署(以下「非派遣先税務署」という
    。)の総務課長は、この事務運営指針に定められた税務署派遣納税者支援調整官
    の果たすべき役割に十分留意の上、所管する苦情の適切な解決に努めるものとす
    る。

7 局納税者支援調整官の具体的な苦情関係事務
 (1) 局納税者支援調整官は、国税局の所掌に関する苦情について6の(1)から(
    3)までの事務処理に準じて処理することを基本とする。
 (2) 局納税者支援調整官は、税務署の所掌に関する苦情について次のとおり対応す
    る。
    イ 特定の税務署の所掌に関し、納税者から苦情の申出を受けた場合には、6の
     (1)のイの聴取を行った上で迅速かつ的確に税務署派遣納税者支援調整官又
     は所管税務署(非派遣先税務署に限る。)の総務課長に引き継ぐとともに、そ
     の旨を当該納税者に対し速やかに連絡する。
    ロ 税務署派遣納税者支援調整官又は税務署の総務課長が行う苦情処理に関して
     必要な調整を行う。
 (3) 局納税者支援調整官は、苦情処理に当たっては、国税局総務部総務課との連絡
    を密にし、その迅速かつ的確な処理に努めるほか、苦情事案について、その処理
    の状況を総合的に管理し、処理が完結するまで常にフォローアップすることに努
    める。
 (4) 局納税者支援調整官は、納税者支援調整官が対応し、処理が完結した苦情事案
    の件数(月間計)及びその処理のてん末について、翌月5日までに国税局総務部
    税務相談室長に報告する。
 (5) 局納税者支援調整官は、特に必要があると認めるときは、国税局総務部長(沖
    縄国税事務所にあっては次長)に意見を具申することができる。

8 納税者支援調整官による地域担当運営
 (1) 地域担当運営
     税務署派遣納税者支援調整官は、(3)に定める担当地域内の非派遣先税務署
    (以下「地域担当署」という。)を対象として、
    ① 苦情の解決のための指導、
    ② 苦情の未然防止等のための職員研修
    などを行うほか、必要に応じて自らが苦情の処理を行うものとする。
     この場合において、局納税者支援調整官が税務署派遣納税者支援調整官ととも
    に地域担当運営を行うこととして差し支えない。
 (2) 地域担当署の税務署長に対する意見具申
     税務署派遣納税者支援調整官(局納税者支援調整官が地域担当運営を行うこと
    とした場合の局納税者支援調整官を含む。)は、地域担当署の苦情処理に関連し
    、地域担当署の税務署長に対し随時意見を具申することができる。
 (3) 担当地域
     担当地域は、局署の実情に応じ、国税局長が納税者支援調整官ごとに定めるも
    のとする。

9 国税局派遣監督評価官室への連絡等
  納税者支援調整官は、苦情の処理に当たり事務運営の改善等を検討する必要があると
 認めるときは、国税局派遣監督評価官室にその旨を連絡する。また、必要に応じて担当
 主管課へ問題提起・提言をする。

 

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※2013年12月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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