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2024.06.21

紹介料:紹介者を明かせない場合に主張すべき内容・規定

※2023年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週水曜の本メルマガでは、税務調査で問題になりがちな
「紹介料(仕事を紹介してくれた者に対して支払う金銭)」が
情報提供料(支払手数料)として全額損金なのか、
もしくは交際費になるのか、その区分について解説しました。

さて、紹介料(リベート)が税務調査の論点になった場合、
実務上・現実面で問題となるのは、税務署には
支払の相手方(の情報)を明かせないケースです。

支払の相手方が法人である場合、特段問題にならないのですが、
ほとんどのケースで相手方が個人であり、

●第三者の場合:受領した紹介料を申告していない
●発注元の役員・従業員の場合:勤務先でのコンプラ違反

など、相手方に不利益が生じることがほぼ確実だからです。

特に、紹介料(リベート)の場合は、調査官が
反面調査をする(電話連絡を含む)可能性が高いです。
調査官としても、紹介者の申告を確認しなければなりませんし、
役務提供(情報提供)が本当にあったのかを確認するのは、
反面調査以外ではほぼ立証が不可能だからです
(相手方に反面調査に行くことをもって、調査対象法人の
課税額を増やすという意図もあるでしょう)。

紹介者に対して反面調査が実施されれば、

・以後仕事の紹介がなくなる
・取引先の役員/従業員がコンプライアンス違反で処罰
・税負担分(以上)の紹介料上乗せを要求される

など、税務上ではない経営上の問題が生じるわけです。

このような問題を避けるためには、税務調査で
否認指摘されてから対応を考えるのでは遅く、
紹介料を役員報酬の増額分(税引後)から支払い、
法人での処理・支払いにしないことが方策として有効です。
詳細は下記をご覧ください。

「交際費課税:リベートの相手方を明かせない場合の対応1」
https://kachiel.jp/?p=37291

本題である紹介料の税務調査対応に話を戻すと、
紹介料の支払い先を明かせない場合、
(情報提供料か交際費かの区分にかかわらず)
課税上の不利益を受け入れることが最低限の要件で、
その中でいかに増差税額が低くなる否認項目に
持ち込めるのかが重要になります。相手方を明かさないのに
課税は受け入れない、という方法論はありません。

紹介料の相手方を明かさない場合の最大の課税リスクは、

役員賞与(損金不算入+源泉課税)
+仕入税額控除否認
+7年遡及(調査対象・課税期間の延長)
+重加算税(延滞税も高くなる)

がすべて適用になるケースでしょう。実際に
こう指摘される可能性が最も高いはずです。

この指摘をされる前に、自ら主張すべきは
「相手方を明かせないので費途不明の交際費として
紹介料を損金不算入で修正申告します」というものです
(この場合、仕入税額控除も否認となります)。

法人税基本通達9-7-20(費途不明の交際費等)
法人が交際費、機密費、接待費等の名義をもって支出した
金銭でその費途が明らかでないものは、損金の額に算入しない。

この主張が通った場合、上記の最大課税リスクより
かなり税額が下がることになります。

さて、「費途不明の交際費」と主張した場合、
この処理(損金不算入+仕入税額控除否認)で調査官は
受け入れるのでしょうか。来週水曜の本メルマガでは、
この点と併せて他の否認論拠について解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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