経営者の事情を知ろう
≪経営者の事情を知ろう≫
元調査官として税理士先生にお願いしたいことがあります。
それは「経営者の事情をもっと知って欲しい」ということです。
税務調査をしていて驚いたことは、
税理士は案外、経営者の事情を知らないんだな、ということ。
税理士は基本的には会社から委任されて、会社の数字管理をしています。
経営者個人の確定申告も担当していることも多いのでしょうが、
経営者の方は税理士に知られたくない事情を言わないのでしょう。
また税理士も会社とは違って、
経営者の確定申告には与えられた情報だけで申告書を作成しているケースが
多いように思います。
経営者個人の申告漏れが税務調査で多く発覚するのが現実です。
実際の税務調査では、法人の調査にもかかわらず社長個人の口座も
調査対象となることが多々あります。
経営者によっては、会社のお金を自分の口座へ流用している場合もありますし、
取引先からキックバックやリベートを受け取っていることも多いからです。
経営者のこのような私的な事情については、
会社の税務を担当している税理士が把握していることはほとんどありません。
しかしいざ税務調査が入り、
会社の資金を流用していたことを税理士が把握しないことを
調査官が知ったときには・・・
調査官としては経営者の事情を把握できていない税理士に不信感をいだきます。
これでは税務調査がスムーズに進むはずがありません。
この状況を避けるため、税理士は税務調査のアポが入ったら
経営者に都合の悪いことを先に言ってもらうことが大切です。
これは決して、経営者の不正を税務署に売ることではありません。
むしろ、税理士が税務調査の時に初めて不正を知ったということが
リスクになるのです。
不正の事実などを調査官には自ら言わなくても構わないので、
まず経営者の本当の事情を把握するよう努めるのが
税理士として重要な仕事ともいえます。
※2009年5月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
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