絶対に否認されない根拠とは?
今回のテーマは、『絶対に否認されない根拠とは?』です。
私も最近気付いたことですが、税務調査で「絶対に」
否認を受けない根拠を作る方法があります。
税務処理をするうえで、かなり判断に迷うケース
(損金に算入するのか、どの勘定科目なのか)
がありますが、このようなケースでは税務署の1部門(審理課)に
「口頭で」事前照会をかけることを考えると思います。
しかし、このような事前照会をきちんとかけて、
その通りに税務処理をしたにもかかわらず、
税務調査では否認されてしまうケースが往々にしてあります。
こんなことは許されない!と抗議しても・・・
事前照会の履歴が税務署に残っていない、と言われればそれでお終いです。
事前照会をかけたのであれば、税務職員の指導通り処理したのだから、本税(増差税額)部分はまだ納付するにしても、
過少申告加算税は国税通則法第65条第4項に定める
「正当な理由があると認められるものがある場合」に該当するため、
課されないと反論しても、それを立証するのは納税者側です。つまり、
本当に事前照会をかけ、その通りに税務処理をしたと立証するには、
録音しておかないと実質的に証明などできないわけです。
さて、ここではちょっと面倒な制度ではありますが、
事前照会をしてその回答を文書で正式にもらう方法について書きます。
税務署で文書でもらえるのであれば、それは公式見解ですから、
調査官が否認など絶対にできないわけです。
まずこの事務運営指針をご覧ください。
「事前照会に対する文書回答の事務処理手続等について」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sonota/020628/01.htm
以前から移転価格などでは制度化されているものですが、
通常の税務業務ではあまり発生しない問題かと思います。
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h19/apa/01.htm
上で紹介した事務運営指針は、移転価格とはまったく別で、
通常の税務処理に迷った場合でも活用することができます。
非常に長い事務運営指針ですので、ポイントを絞って解説しておきます。
【事前照会文書回答制度のポイント】
①事前照会者が行う取引等に係る国税に関する法令の解釈・適用
その他税務上の取扱いに関する事前照会であること
②申告期限前の事前照会であること
③仮定の事実関係や複数の選択肢がある事実関係に基づくものではなく、
実際に行われた取引等又は将来行う予定の取引等で
個別具体的な資料の提出が可能なものに係る事前照会であること
④所轄税務署(もしくは国税局)への提出が必要で管轄外はダメ
⑤「取引等に係る税務上の取扱い等に関する事前照会」という
正式書面に記載して提出する必要性がある
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sonota/kaisei/040217/pdf/02.pdf
⑥課税庁側は3ヶ月以内の回答が原則
(原則から外れる場合もあるがその場合は事前に連絡がある)
ですから、決算期日が近づいてから事前照会をかけても
申告期限に間に合わない可能性がありますので注意が必要です。
事務運営指針の中にも注書として
「文書回答は、あくまで納税者サービスの一環として行うものであることから、不服申立ての対象とはならないこと、及び照会文書に対する回答がないことを理由に申告期限や納期限が延長されるようなことはないことに留意する。」
と記載があります。
あくまでも、何かの法律に基づいた行為でない以上、
文書回答は課税庁側の任意の行為ですが、きちんと
事務運営指針まで出されている、つまり課税庁が守らなければ
ならないルールになっているのです。
事前照会はこの正式ルートを通して
文書で回答をもらうことをお薦めします。
これで税務調査で否認されることはありません。
※2011年11月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
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