2018.12.11

脱漏・除外の意味

※2018年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

本メルマガでも繰り返し解説していますが、
重加算税の要件は突き詰めると、
「故意にやったか」によって判断されます。

裏を返すと、税務調査で見つかった
売上や雑収入の計上漏れなどが、「故意でない」
ことを主張することが大事、というわけです。

重加算税の法的要件(国税通則法第68条)は
「隠ぺい」または「仮装」となっています。

「隠ぺい」や「仮装」の言葉の意味を考えてください。

〇ミスして隠ぺい(してしまった)

〇うっかり仮装(してしまった)

という言葉が成立しないことから、
「隠ぺい」「仮装」という言葉には
【故意にやった】という意味が
言外に含まれていることがわかります。

さて、先日下記の相談がありました。

【税務調査の質問内容】

〇スクラップ収入計上漏れの指摘を受けた

〇明らかに故意に収入を除外したのではなく、
経理処理のミスによるもの

〇重加算税の事務運営指針
http://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/100703_02/00.htm
第1賦課基準の(隠蔽又は仮装に該当する場合)の
1(2)【3】「帳簿書類の作成又は
帳簿書類への記録をせず、売上げその他の収入
(営業外の収入を含む。)の脱ろう又は
棚卸資産の除外をしていること。」とあり、
これに該当するのではないか?

〇そうだとすると、故意ではなくても
隠ぺい・仮装に該当するということか?

ここで大事なことは、税務署・調査官が
よく使う「脱漏(脱ろう)」「除外」
という言葉の意味です。

「脱漏」と「漏れ」は似た言葉ですが、
まったく意味が違います。

「除外」はまだわかりやすいのですが、
「脱漏」と同じく、「故意に抜いた」
「故意に漏らした」という意味です。

だからこそ、事務運営指針では重加算税の
要件として「脱ろう」「除外」としています。

重加算税を課したい調査官が
質問応答記録書内で「脱ろう」「除外」
という言葉を使いたがるのは、これらが
故意であることを認めた言葉だからです。

逆に、故意を含まないのは「漏れ」「抜け」
「ミス」などの言葉になります。

「脱漏」や「除外」という言葉の意味を
知っておかないと、調査官の思惑通りに
重加算税を課されてしまいますので、
ぜひ注意してください。

なお、重加算税について私が解説した
「税務調査大全(重加算税編)」では
さらに深掘り解説していますので
合わせて参考にしていただければと思います。

http://mmct.jcity.com/?c=6154&e=qIC52fhc%3DgyYsNOFFaZlkQ11

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