行政手続法と税務行政:処分理由の明示
※2021年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に理解する
内容を連載で解説していますが、前回から引続き
行政手続法と税務行政の接点を取り上げます。
今回は行政手続法を根拠とした「処分理由の明示」です。
まず、前提となる行政手続法と税務との関係ですが、
税務行政のすべてにおいて行政手続法が適用になる
わけではなく、一部が除外されています。
国税通則法第74条の14(行政手続法の適用除外)
行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三条第一項
(適用除外)に定めるもののほか、国税に関する
法律に基づき行われる処分その他公権力の行使に
当たる行為(酒税法第二章(酒類の製造免許及び
酒類の販売業免許等)の規定に基づくものを除く。)
については、行政手続法第二章(申請に対する処分)
(第八条(理由の提示)を除く。)及び第三章
(不利益処分)(第十四条(不利益処分の理由の提示)
を除く。)の規定は、適用しない。
カッコ書きが多く非常に読みにくい規定ですが、
●行政手続法の第2章・第3章は適用除外
●ただし、第2章の第8条と第3章の第14条は適用
と理解してください。
※先週解説した行政手続法第32条以下については
第4章なので税務行政にも適用があるという理解です。
行政手続法第8条(理由の提示)
行政庁は、申請により求められた許認可等を
拒否する処分をする場合は、申請者に対し、同時に、
当該処分の理由を示さなければならない。(以下略)
たとえば、青色申告の承認申請を提出をしたが、
認められない場合はその理由が明示されるわけですが、
これは税法が根拠なのではなく、行政手続法の
この条文が根拠となっています。
行政手続法第14条(不利益処分の理由の提示)
行政庁は、不利益処分をする場合には、
その名あて人に対し、同時に、当該不利益処分
の理由を示さなければならない。(以下略)
税務調査によって(増額)更正される場合、
納税者にとって不利益処分に該当するわけですが、
更正通知書にその理由が明示されるのは、
行政手続法のこの条文が根拠となっています。
なお、税法上では「青色申告者に対して更正する」
場合に、理由の附記を求めています
(法法第130条第2項・所法第155条第2項)。
ですから、青色申告者に対する更正以外の、
下記のような不利益処分で理由附記をする根拠は
行政手続法第14条ということになります。
●消費税・相続税などのように青色申告制度がない
税目における(増額)更正
●法人・個人の白色申告者に対する(増額)更正
●加算税の賦課決定処分(主には重加算税)
なお、「更正(国税による職権)=理由の附記」
というわけではなく、あくまでも
「不利益処分=理由の附記」ということですから、
減額更正の場合は理由は明示されません。
税務実務においては行政手続法が意識されることは
非常に少ないですが、実は税務行政においても
行政手続法が関係しているということです。
先週金曜のメルマガを含めて、税務に関わる
行政手続法の内容についてはぜひ理解してください。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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