2024.10.25

認知された子の相続権

※2023年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のテーマは、
「認知された子の相続権」です。

今回扱う「認知」は『認知症』の話ではなく
いわゆる、非嫡出子の話になります。

非嫡出子の相続分については、
非常に有名な最高裁決定があります。

平成25年9月4日 最高裁決定
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=83520

内容は・・・
民法900条4号ただし書前半
「嫡出でない子の相続分は、
嫡出である子の相続分の2分の1とし」
につき、憲法違反という判決です。

当該決定を受け、民法改正となりました。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00143.html
平成25年12月5日
民法の一部を改正する法律が成立し
同月11日公布・施行となりました。

内容は・・・
民法900条4号ただし書前半
「嫡出でない子の相続分は、
嫡出である子の相続分の2分の1とし」
を削除するものです。

新法の適用は、
平成25年9月5日以後に開始した相続について
適用するものとされました(附則2項)。

ただし、この話は
非嫡出子に相続権があることが
前提となります。

そもそも・・・
「認知」とは、
父親が子供に対して
自分の子である事を認め、
これを役所に届けること
をいいます。

―――
民法779条
嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
―――

「父又は母」と定めていますが、
通常、母親は分娩し、医師の出生証明書を
添付して出生届を提出した時点で
親子関係を生じますので、
母親の認知は問題となることはありません。

そのため、
「認知」とは、
父が自分の子であることを認め
役所に届けることを言います(民法781)。

1.認知の方法
(1)戸籍法に基づく市区町村への届出(民法781(1)
(2)遺言(民法781(2))。
(3)認知の訴え(民法784)

ちなみに・・・
遺言で認知した場合は、
遺言執行者が認知届を役所に
提出することになります。

認知すると・・・
親子関係を生じさせることになります。

2.認知の効力
出生の時に遡ってその効力を生じます
(民法784)。

3.親権者等の協議
認知すると、以下について協議します。
・親権者をどちらにするか
・毎月の養育費をどちらがどれだけ負担するか
(民法788条、766条)

なぜならば・・・
父親と子の間に親子関係を生じるためです。

4.非嫡出子の相続権
(1)母についての相続権
母は分娩を通じて出生届を提出する
ことで、親子関係は当然に生じます。

そのため・・・
非嫡出子は母の相続につき
当然に相続権を有します。

(2)父についての相続権
父は認知をすることで親子関係を
生じさせるため、
非嫡出子は父の認知によって初めて
父の相続についての相続権が
生じることになります。

相続権が生じるということは
・法定相続分を主張できる
・遺留分を請求できる
ことを意味します。

そのため・・・
非嫡出子は父の生前に認知されれば
父の相続人として
父の相続についての遺産分割協議に
参加することになります。

しかし・・・
非嫡出子が父の相続開始後に認知された
場合の扱いは少し複雑になります。

次回は、
非嫡出子が父の相続開始後に
認知された場合の扱い
を取り上げます。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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