誰に対して事前通知し誰に調査できるのか?
※2016年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
法人に税務調査が行われる場合、調査官は誰に対して
質問検査権を行使できるのでしょうか?
代表者や顧問税理士に対して、というのはもちろんですが、
社員・従業員に対して質問検査ができるのでしょうか?
国税通則法第74条の2では、法人税の質問検査の
対象を「法人」と規定しています。
この「法人」にどこまで含まれるのか、です。
この答えは、実は通達に明記されています。
国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の
制定について(法令解釈通達)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/zeimuchosa/120912/index.htm
1−4(質問検査等の相手方となる者の範囲)
法第74条の2から法第74条の6までの各条の
規定による当該職員の質問検査権は、それぞれ
各条に規定する者のほか、調査のために必要が
ある場合には、これらの者の代理人、使用人
その他の従業者についても及ぶことに留意する。
この通達にあるとおり、法人に対する税務調査では
従業員に対しても及ぶことがわかります。
では・・・事前通知の相手方は誰でしょうか?
代表者ではなく、従業員に対して
行った事前通知は適法なのでしょうか?
この点、上記の質問検査権の相手方とは
規定が相違しているので注意が必要です。
同通達において、下記と規定されています。
3−5(通知等の相手方)
法第74条の9から法第74条の11までの
各条に規定する納税義務者に対する通知、説明、勧奨
又は交付(以下、3-5において「通知等」という。)の
各手続の相手方は法第74条の9第3項第1号に規定する
「納税義務者」(法人の場合は代表者)となることに
留意する。ただし、納税義務者に対して通知等を行う
ことが困難な事情等がある場合には、権限委任の範囲を
確認した上で、当該納税義務者が未成年者の場合には
その法定代理人、法人の場合にはその役員若しくは
納税申告書に署名した経理に関する事務の上席の責任者
又は源泉徴収事務の責任者等、一定の業務執行の
権限委任を受けている者を通じて当該納税義務者に通知等
を行うこととしても差し支えないことに留意する。
この通達規定で明らかにされているとおり、
特殊な事情がある場合を除き、事前通知は
法人の代表者(もしくは税理士)に行わなければ
適法とは言えないのです(事前通知のみならず、
その他の説明等も代表者でなければなりません)。
無予告調査の場合は特に注意が必要です。
突然調査官が来たが代表者が不在の場合、
従業員に対して説明したまま税務調査を始める
調査官がほとんどですが、それは違法なのです。
※無予告調査であっても、調査開始前に
対面での事前通知は必要です
この「違い」を認識している方は少ないので、
ぜひ注意してください。
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