• HOME
  •  › ブログ
  •  › 調査で粉飾を伝えると税金は還付されるのか?
2017.12.18

調査で粉飾を伝えると税金は還付されるのか?

※2017年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

あまり良いこととは言えませんが・・・
粉飾をしている法人に税務調査が入ることもあります。

顧問先が粉飾しているくらいですから、
資金繰りに窮している状況でしょうし、
また、最悪なケースとして税務調査時にもまだ
資金繰りが悪いことも想定できます。

このような状況であれば・・・
税務調査で調査官に粉飾している事実を伝え、
払い過ぎの法人税等を還付してもらいたい、と考える
顧問先がいたとしてもおかしくはありません。

さて、【法人税の規定において】粉飾をしていた場合、
法人税がすぐに還付されるというわけではありません。

カッコ書きを除いて、根拠条文を載せましょう。

法人税法第70条(仮装経理に基づく
過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)
内国法人の各事業年度開始の日前に開始した事業年度
の所得に対する法人税につき税務署長が更正をした場合において、
当該更正につき第135条第1項の規定の適用があつたときは、
当該更正に係る同項に規定する仮装経理法人税額は、
当該各事業年度の所得に対する法人税の額から控除する。

この規定から、粉飾=仮装経理に基づく過大申告
をしていた場合、国税が減額更正するにしても、
すぐに還付はされず、将来発生する法人税から
充当(減額)されることになります。
(法人税法第135条)

また、税務調査において調査官が粉飾の事実を
知ったからといって、無条件に減額更正を
してくれるわけではなく、あくまでも納税者自身が
修正経理をすることが要件となっています。
(前期損益修正損等を計上することになる)

税務調査での発覚ではなく、自身で粉飾を認め、
法人税の還付請求する場合は、通常の更正の請求
の手続きではなく、下記を提出することになります。

[手続名]仮装経理に基づく過大申告の場合の
更正に伴う法人税額・地方法人税額の還付の請求
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_72.htm

これらの規定を知らず、税務調査において
法人税がすぐに還付されると考えて、
粉飾の事実を伝えてしまうと、資金繰りは
悪いままとなるので注意が必要というわけです。

一方で、粉飾をしていた場合に、
法人税法には上記の規定が存在しますので、
すぐには還付されませんが、消費税法には
このような規定は存在しないため、粉飾部分の
払い過ぎている消費税は還付されることになります。

・法人税はすぐに還付されない(将来充当)
・消費税は還付される

ことの両方を加味したうえで資金繰りを考え、
税務調査において粉飾の事実を伝えるべきか
否かを判断する必要があります。

粉飾の取扱いについては、あまり知られていない
ようですので、ぜひ注意してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。