調査で粉飾を伝えると税金は還付されるのか?
※2017年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
あまり良いこととは言えませんが・・・
粉飾をしている法人に税務調査が入ることもあります。
顧問先が粉飾しているくらいですから、
資金繰りに窮している状況でしょうし、
また、最悪なケースとして税務調査時にもまだ
資金繰りが悪いことも想定できます。
このような状況であれば・・・
税務調査で調査官に粉飾している事実を伝え、
払い過ぎの法人税等を還付してもらいたい、と考える
顧問先がいたとしてもおかしくはありません。
さて、【法人税の規定において】粉飾をしていた場合、
法人税がすぐに還付されるというわけではありません。
カッコ書きを除いて、根拠条文を載せましょう。
法人税法第70条(仮装経理に基づく
過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除)
内国法人の各事業年度開始の日前に開始した事業年度
の所得に対する法人税につき税務署長が更正をした場合において、
当該更正につき第135条第1項の規定の適用があつたときは、
当該更正に係る同項に規定する仮装経理法人税額は、
当該各事業年度の所得に対する法人税の額から控除する。
この規定から、粉飾=仮装経理に基づく過大申告
をしていた場合、国税が減額更正するにしても、
すぐに還付はされず、将来発生する法人税から
充当(減額)されることになります。
(法人税法第135条)
また、税務調査において調査官が粉飾の事実を
知ったからといって、無条件に減額更正を
してくれるわけではなく、あくまでも納税者自身が
修正経理をすることが要件となっています。
(前期損益修正損等を計上することになる)
税務調査での発覚ではなく、自身で粉飾を認め、
法人税の還付請求する場合は、通常の更正の請求
の手続きではなく、下記を提出することになります。
[手続名]仮装経理に基づく過大申告の場合の
更正に伴う法人税額・地方法人税額の還付の請求
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_72.htm
これらの規定を知らず、税務調査において
法人税がすぐに還付されると考えて、
粉飾の事実を伝えてしまうと、資金繰りは
悪いままとなるので注意が必要というわけです。
一方で、粉飾をしていた場合に、
法人税法には上記の規定が存在しますので、
すぐには還付されませんが、消費税法には
このような規定は存在しないため、粉飾部分の
払い過ぎている消費税は還付されることになります。
・法人税はすぐに還付されない(将来充当)
・消費税は還付される
ことの両方を加味したうえで資金繰りを考え、
税務調査において粉飾の事実を伝えるべきか
否かを判断する必要があります。
粉飾の取扱いについては、あまり知られていない
ようですので、ぜひ注意してください。
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