調査とプライベート
≪調査とプライベート≫
税務調査において、調査官としても時折悩ましい問題に直面します。
それは会社の税務調査をしているにも関わらず、
経営者の方のプライベート情報まで調べなければならないことです。
調査官としても建前として、法人の調査で個人のプライベートに関わることまで知りたいとは思っていないのですが・・・
経営者が生活していく中で、経営者と会社の区切り、つまりオフィシャルとプライベートの区切りをはっきりとつけることができないのが現実でしょう(上場会社は別かもしれませんが)。
パソコンを例にとれば、1つのメールアドレスを使い、個人的なメールも受け取りますし、ビジネスのメールも受け取ることでしょう。
その全てを調査すべきだとは調査官も思っていないのですが、
現実的には全てのメールを見せていただかないと
証拠(エビデンス)を把握することはできないのですから、
どうしてもプライベートに入り込まざるを得ません。
メールであればまだいいのですが、同じパソコンでプライベートなファイル
(例えば写真・動画や友達の住所録等)まで管理している場合は大変です。
調査の時に、「パソコンの中身を見せてください」と言うと、
断固として拒否されることがあります。
調査官としては拒否されると「何かマズいものが入っているのだな」と勘繰り、余計にそのパソコンを調べたくなるのですが、拒否された理由がただ単に、プライベートなものを見られたくないだけ、ということもしばしば。
調査官としては別に、プライベートのものを見たいわけでも何でもないのですが。
もちろん、会社に税務調査が入った際にはプライベートの部分は
断ることができるという前提はありますが、
調査官としても、「プライベートだから見せられない」と断られていたのでは税務調査は進みません。
ですから現実問題としては、プライベートの部分も調査することがあります。
しかしそれはあくまでも、調査の対象にしたいわけではなく、
全てを調査したうえで、会社と個人の切り分けをしたいだけなのです。
調査官は守秘義務を負っており、プライベートに関して得た情報を
外部に漏らすことはありません。
税務調査をスムーズに進めるためにも、
できるだけプライベートな情報とオフィシャルな情報を
別のところに保管・保存しておくことが大事です。
またそこまでしてなくても、税務調査時には調査官にはいったんプライベートな情報でも開示しながら、税務調査に不要なもの(つまりプライベート情報)を先に言っておくことをお薦めします。
※2009年5月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
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