調査ファイルの気になるヒミツ
さて、今回のテーマは『調査ファイルのヒミツ』です。
税務調査が終わると、調査官は調査ファイルを提出しなければなりません。
これには決まった書式がありません。
当然、このファイルを納税者に見せたりすることはありません。
納税者には「ゴルフ代が年間100万円は認めません。半分にして下さい」
「週一日出社の非常勤役員の報酬が月額50万円は高過ぎです」
と明確な非違の根拠までを説明しません。
だからこそ、その中身が気になるものでしょう。
調査ファイルには一体何が書いてあるのか?
その真相に迫ります。
なぜ、調査ファイルに決まった形式がないのでしょう?
膨大な領収書や銀行の取引情報を印刷したものがファイルされたりと
調査先によってその内容は異なります。
調査ファイルは7年間保存されますが、次回の税務調査を行う際に
必要な書類だけをピックアップすれば良いと考えています。
ですから一見必要はないと思われる情報でもすべて保存していきます。
話は少し横道に外れますが、税務署には書類をシュレッダーする感覚がありません。
2009年、愛知県内の税務署に勤務する50代の男性職員が
受領した確定申告書1通を審査部署に送ることを忘れ5ヵ月間放置。
放置していたことに気づいたが、上司には報告せず
同じ内容で申告書の日付を偽造して、担当部署に提出しました。
この職員は、発覚を恐れて原本をシュレッダーで処分。
別の職員が納税者に申告内容を問い合わせたことで事態が発覚しました。
有印私文書偽造や公用文書等毀棄(きき)などの疑いがあるが、
国税局は「実害がない」として刑事告発を見送り、署員の勤務先や
年齢も公表しせず、減給10分の2(3ヶ月)の処分としています。
もちろん、税務署にシュレッダーはあります。
しかし税務署が取り扱う書類はすべて原本となります。
このケースでは幸いに実害はありませんでしたが
原本を失うことは大きな問題に発展します。
こういった危険を避けるため、膨大な資料でもファイルする習慣にしています。
ファイルは、文房具店でも手に入るような2つ穴の簡易式のファイルです。
重加算税の対象となれば、それだけでも1冊分となるケースもあります。
最後に「平成○年~○年 株式会社○×商事 不動産販売業」などと
書き込み、それをもって税務調査を終了したことを知らせます。
これは、過去に資料を持ち歩いていたケースがあったのですが、
万が一、紛失した際にその企業の情報が特定されないための配慮です。
では、その具体的な中身はどうなってるのでしょうか?
まずは基本的な情報として、調査先の事業内容や業績についての詳細です。
ここ数年間の業績はもちろんのこと、取引先の状況や関係会社との相関図
銀行情報(残高や借入状況、手形取引、通帳記帳)や、
納税者の家族構成(子供がどんな仕事をしているか?など)細かく書き出します。
提出された決算書などは、事前に確認すべき事項を洗い出します。
同地区にある同規模の会社はどのくらいの利益が出ているのか?
同業他社の業績はどうか?など業種比較も怠りません。
その後、内偵調査の資料が続きます。
飲食店であれば、店のレイアウト、席数、料理や飲み物の単価
従業員数、来店状況と平均客単価の算出まで緻密に資料を作成します。
支払に使った一万札の番号は何番であった、レジは正しく使用したか
など、これらの資料が実地調査の際に大きな威力を発揮します。
では次回は、実地調査が行われ後、ファイルにはさらにどのような資料が追加されるか詳しくご紹介してまいります。
是非、ご期待下さい!
※2010年5月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。