調査官に理解してもらう申告書
今回のテーマは、『調査官に理解してもらう申告書』です。
前回のブログでは、税務署がどのように
調査先を選定しているのかを書きました。
当然のことながら、システムだけで調査先の選定を
行っているわけではなく、統括官や調査官が
人間の目で見て最終的な判断・選定を行っています。
・売上が急激に伸びている会社、
・売上に比して所得が低調な会社
・退職金等、目をつけられやすい項目がある
税理士から見ても、「この会社は調査に入られるなあ」
と思う会社には特に、申告書の提出の際に特殊事情や詳細の
説明をきちんと書いて、合わせて提出すべきです。
調査官は申告書に、ただ数字しか見ていないと
どの会社も怪しく見えるものです。
きちんと事情の説明を書いてくれていたら、
「なるほど、こういう理由があるんだ」と
提出された書類を見ただけで納得できるものです。
売上に比して所得が低調な会社
→なぜ所得が低調なのか?
→営業マンを雇って売上は上がったが
販管費がかさんで所得は低調のまま
退職金の支給がある
→退職の事由
→退職金の金額を算定した方法と根拠
(規定も合わせて添付した方がなお良いでしょう)
このような特殊事情の説明や詳細の開示は
どこに書けばいいのですか?とよく聞かれます。
一般的には、事業概況説明書の最後の欄
「当期の営業成績の概要」がありますが、
そこへの記載は最低限のレベルだと考えています。
特殊事情や詳細の説明は、別添でそれらを記載した紙を
添付した方がいいです。別添で紙を出すの?
と思われそうですが、申告書の提出には
合わせて出してはならない書面などないのです。
自由に記載して合わせて提出してください。
調査官は提出された資料をすべて見ているものです。
また、内訳明細書もできるだけ詳細に書くことです。
調査先の選定では、資料せんとの突合を絶対に行います。
雑収入に関連することなど、資料せんがあっても
明細を開示しておけば申告書上で突合できるので、
税務調査に行く必要がないと思ってもらえます。
結局のところ、提出する申告書が果たすべき役割は、
「調査官に理解してもらう」ことです。
調査官も事情や詳細などの情報が多ければ多いほど、
その会社に税務調査に入る理由がなくなりますし、
税務調査に入ったとしても、事前に事情を説明しているので
税務調査の実施期間も短くなります。
※2011年8月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。