調査官の依頼を正しく断る方法 -1-
今回のテーマは『調査官の依頼を正しく断る方法 -1-』です。
税務調査が最も盛んな時期に入り(2010,10,4に配信されたものです)、
弊社にも多くの税理士から相談が寄せられます。
税務調査はモメてからキレいに着地させるのは
非常に難しいもので、やはり普段からきちんと
対応方法を考え実行していくことが大切です。
税務調査でモメるケースは大抵決まっていて、
まず調査現場での対応方法を正しく知る必要があります。
そこで今週から、『調査官の依頼を正しく断る方法』
についてシリーズで書かせていただきます。
第1回の今回は【 パソコンを見せてください 】と
言われたときの正しい断り方です。
最近はペーパーレス化が進み、会計・税務処理
だけにとどまらず、業務のほとんどが
パソコン上で処理・対応されることが多くなりました。
こんな現実にともなって、税務調査の現場では
「パソコンを見せてください」と調査官に
依頼されるのが通常になってきました。
さてパソコンをそのまま見せる際に問題になるのが、
・パソコンを私的な理由でも使用しており見せたくない
(個人のメールや写真など)
・ノウハウや契約関連など会社の内情を知られたくない
・パソコンを壊されたら困る
など、調査官に見られたくない理由があるときです。
ではどのようにして「パソコンを見せてください」
という依頼を断るのでしょうか?
まず税務調査は納税者に受忍義務が存在しますが、
受忍義務とは「所得もしくは税額の計算上必要あるもの」
についてのみ認められる義務であって、それ以外のことに
義務がないことを認識しなければなりません。
調査官に「パソコンを見せてください」と言われた場合、
「プライベートで使用しているので嫌です」
などと答えてしまったら、「では減価償却費に
事業使用割合をかけて一部否認しましょう」となります。
このような場合は、「見たいものを言ってください。
パソコンの画面に出しますので」と答えてください。
調査官は切り返してくると思います。
「何か見せられないマズいものでもあるのですか?」
ここでさらに切り返します。
「税務に関するもの以外見せる必要はないと思います」
さらに調査官が「我々には守秘義務があるので大丈夫です」
と切り返してきたら・・・
「パソコンをそのままお渡しして壊れて、
データが消失したらどのように責任取れますか?」
と言えば、これで調査官も黙らざるを得ないはず。
調査官に守秘義務があろうとなかろうと質問検査権と受忍義務は、
税務に関することに限られるのであって、
それ以外には及ばないことをきちんと主張して、
変な疑いを持たれないよう反論することが大事なのです。
※2010年11月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。