調査官の依頼を正しく断る方法 -2-
今回は『調査官の依頼を正しく断る方法 -2-』です。
税務調査の現場では、あたかも当り前のように
行われていることが、実はトラブルのもとであったり
法律に沿っていなかったりすることが数多くあります。
前回から引続き『調査官の依頼を正しく断る方法』シリーズで、
今回は「書類を持って帰りたい」と言われたときの
正しい断り方について書いていきます。
調査官は税務調査初日で(正確にはほぼ午前中で)、
今回の税務調査にはどの程度の時間がかかるものか
把握することができています。
もちろん調査を進めるにあたって、後から不正を発見したり、
反面調査の必要性が出たりと、読みにくい税務調査は存在するのですが…
時間がかかる税務調査の典型例は帳票類が多いこと。
もちろんこれは売上高に比例しますので、
売上が大きいところは複数人で調査するわけです。
ただ複数人で調査しても、確認すべき項目が
あまりに多いときは2つの方法しかありません。
① 多額な売上・経費に絞って調査する
② 少額なものもチェックしたいから帳票類を税務署に持って帰る
②のケースは少なからず存在します。
なぜなら初日の午前中にいくつかの否認項目を発見すると、
他の項目も見ざるを得なくなるからです。
調査官は慣れたもので、税務署に帳票類を持って帰りたい場合、
持って帰る帳票類を頭の中で選定し、夕方には
「預り証を発行するので借りたい」と言い出します。
税務調査というのは本来、帳票類が保存されている場所で
行うものであって、税務署で行うものではありません。
ここで帳票類を調査官に渡すと納税者側に2つリスクがあります。
①帳票類を細かくチェックされ調査が長引くリスク
②帳票類を失くされるリスク
本来事務所であればむやみやたらと細かいものをチェックしない調査官も、
税務署に持ち帰れば複数人でチェックできるため(つまり楽できるため)、
全てチェックしようとして、調査が長引く可能性があります。
また帳票類を調査官が失くすというリスクは、
調査官自身は絶対に否定しますが、実務上はよくあります。
しかも帳票類が多い場合、納税者の手元に戻ってきた際には
預り証とのチェックを実質的にしないため、
調査官に何を失くされてもわからないのです。
“帳票類を持って帰りたい”と調査官が言い出した場合、
「税務署からコピー機を持ってきて、欲しい分を全てコピーして
持って帰ればいい」と言うべきです。
なお、納税者側にあるコピー機を使用する場合は、
・調査官自身がすべきであること
・コピー代金は白黒10円・カラー50円(時価)で請求する
旨の2点はきちんと調査官に伝えるべきです。
※2010年11月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。
また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。