調査官の職歴を調べる(前編)
※2016年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
春の税務調査が本格的に始まり、私に対する質問・相談も
増えましたが、その中には、調査官の職歴から
税務調査の予測をしたい、というものが多くあります。
今週と来週の2回に分けて、職歴から調査官を
見抜く方法を教えます。
まず前提条件ですが、地域によっては
国税の職員録を税理士会から配布される、
もしくは買えるところもありますが、
私は「10年職歴」を購入して参考にしています。
http://www.zeikei-news.co.jp/goods_ten.html
この職員録のすばらしいところは、その名の通り、
単年ごとの職員録ではなく、全職員の
10年分の異動経緯が一覧でわかることです。
もちろん、担当の調査官が現在どの職格にいるのか
などを知ることも大事ですが、もっと大事なのは、
過去の経歴を知ることなのです。
税務調査の事前連絡が入ると、職員録を見て、
下記の順番でチェックしましょう。
(1)調査官の職格・職歴を調べる
[1]職格
調査官は通常3パータンに分かれます。
上席:ベテラン
調査官:上席手前
事務官:国税に入って3年未満
ここで注意すべきは、職員録を見て
「調査官」などのように官職が載っていないのは
事務官(若手見習い中)ということです。
また、担当調査官が上席であっても、何ら偉いわけでも、
決裁権を持っているわけでもありませんので注意してください。
[2]職歴
調査官を調べる際にもっともチェックすべきは、
「数年分の職歴」です。
現在税務署の法人課税部門にいて、
過去も税務署が違うだけで、ずっと法人経験者であれば
何も気をつけるべき点がありません。
一方、そうではない経歴を持っている調査官には注意です。
・交流:他の部門出身者には要注意です。
国税内は交流といって、3年程度、他部門に異動し、
経験を積ませる慣習があります。
担当の税法すらまったくわかっていないケースが多いので、
税法で反論するのではなく、書籍などで反論した方が
わかりやすくて効果的です。
・転課:交流とは違い、完全に部門を移籍することがあります。
交流のように担当税目をまったく知らないことは
ないかと思いますが、経験が浅い場合は交流者と
同じ対応をした方がいい場合もあります。
・総務出身:元は法人課税などで調査をしていても、
総務経験が長いと税法を忘れているものです。
細かい指摘事項ではなく、期ズレなど
ベースになるところだけチェックしておきましょう。
・内部部門(1部門出身):同じ課税部門であっても、
内部部門にいると、申告書・申請書などの処理ばかり
していますので、KSKには詳しいものの、
調査には疎くなっているケースが多いです。
細かいミスばかり突いてくる調査官が多いです。
・国税局出身者:特に資料調査課(いわゆるリョウチョウ)は
無予告調査を含めて、質問検査権を逸脱した
調査を行うケースが多くあります。また修正申告しないなら
更正を打とうとする調査官も多いので、
駆け引きが非常に重要になります。
上記3パータンに当てはまらない調査官もいます。
「情報技術専門官」や「国際情報官」などです。
特に気をつけなければならないわけではないですが、
職格によっては特殊な専門職の場合もあるということだけ
覚えていただければ結構です。
また、よく聞かれることとして、国専と普通科があります。
国専とは国税専門官の略称で、大卒採用です。
普通科とは高卒採用なのですが、税務調査の現場では
どちらも取り立てて違いはありません。
この続きは、来週水曜のメルマガで配信します。
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