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2016.12.09

調査官の職歴を調べる(前編)

※2016年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

春の税務調査が本格的に始まり、私に対する質問・相談も
増えましたが、その中には、調査官の職歴から
税務調査の予測をしたい、というものが多くあります。

今週と来週の2回に分けて、職歴から調査官を
見抜く方法を教えます。

まず前提条件ですが、地域によっては
国税の職員録を税理士会から配布される、
もしくは買えるところもありますが、
私は「10年職歴」を購入して参考にしています。

http://www.zeikei-news.co.jp/goods_ten.html

この職員録のすばらしいところは、その名の通り、
単年ごとの職員録ではなく、全職員の
10年分の異動経緯が一覧でわかることです。

もちろん、担当の調査官が現在どの職格にいるのか
などを知ることも大事ですが、もっと大事なのは、
過去の経歴を知ることなのです。

税務調査の事前連絡が入ると、職員録を見て、
下記の順番でチェックしましょう。

(1)調査官の職格・職歴を調べる

[1]職格

調査官は通常3パータンに分かれます。

上席:ベテラン
調査官:上席手前
事務官:国税に入って3年未満

ここで注意すべきは、職員録を見て
「調査官」などのように官職が載っていないのは
事務官(若手見習い中)ということです。

また、担当調査官が上席であっても、何ら偉いわけでも、
決裁権を持っているわけでもありませんので注意してください。

[2]職歴

調査官を調べる際にもっともチェックすべきは、
「数年分の職歴」です。

現在税務署の法人課税部門にいて、
過去も税務署が違うだけで、ずっと法人経験者であれば
何も気をつけるべき点がありません。

一方、そうではない経歴を持っている調査官には注意です。

・交流:他の部門出身者には要注意です。
 国税内は交流といって、3年程度、他部門に異動し、
 経験を積ませる慣習があります。
 担当の税法すらまったくわかっていないケースが多いので、
 税法で反論するのではなく、書籍などで反論した方が
 わかりやすくて効果的です。

・転課:交流とは違い、完全に部門を移籍することがあります。
 交流のように担当税目をまったく知らないことは
 ないかと思いますが、経験が浅い場合は交流者と
 同じ対応をした方がいい場合もあります。

・総務出身:元は法人課税などで調査をしていても、
 総務経験が長いと税法を忘れているものです。
 細かい指摘事項ではなく、期ズレなど
 ベースになるところだけチェックしておきましょう。

・内部部門(1部門出身):同じ課税部門であっても、
 内部部門にいると、申告書・申請書などの処理ばかり
 していますので、KSKには詳しいものの、
 調査には疎くなっているケースが多いです。
 細かいミスばかり突いてくる調査官が多いです。

・国税局出身者:特に資料調査課(いわゆるリョウチョウ)は
 無予告調査を含めて、質問検査権を逸脱した
 調査を行うケースが多くあります。また修正申告しないなら
 更正を打とうとする調査官も多いので、
 駆け引きが非常に重要になります。

上記3パータンに当てはまらない調査官もいます。
「情報技術専門官」や「国際情報官」などです。
特に気をつけなければならないわけではないですが、
職格によっては特殊な専門職の場合もあるということだけ
覚えていただければ結構です。

また、よく聞かれることとして、国専と普通科があります。
国専とは国税専門官の略称で、大卒採用です。
普通科とは高卒採用なのですが、税務調査の現場では
どちらも取り立てて違いはありません。

この続きは、来週水曜のメルマガで配信します。

 

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