調査官の規則違反を問う
※2014年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
私はよく、本ブログ・セミナーなどで、
「国税の内部規則をたくさん知っておきましょう」
とお伝えしています。
国税には内部規則が数多くあります。
誰しもが知っているものに基本通達(法令解釈通達)があります。
通達の本来の意味は「上位官庁から下位官庁に対する命令・規則」
を指していますので、税務行政で「通達」といえば、
国税庁が国税局・税務署に出す命令・規則はすべて通達に含まれます。
例えば、国税庁のホームページにおいて
「事務運営指針」が公表されています。
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/jimu.htm
事務運営指針とは、全国524ある税務署が行う処分が、
税務署ごとに処分理由・基準等が相違しないよう、
ルールを統一するための命令・規則で、通達に含まれます。
またTAINSなどのデータベースで調べれば、
本メルマガ等でもよく紹介している国税内部の命令・規則
(全般的に「内部通達」と呼ばれています)を
知ることも可能です。
私が「国税の内部規則をたくさん知っておきましょう」
と言うのは、2つの理由があります。
その1つは、調査官が内部規則を知らないから。
調査官全員が漏れなく内部規則のすべてを知っていて、
それを適切に運用しているなら、何ら問題ありません。
しかし現実は、細かい内部規則はさておき、調査官が
国税庁のホームページで公表されている事務運営指針までも
知らない、知らないから事務運営指針を逸脱した課税
(典型的なものに重加算税の賦課)が行われています。
そしてもう1つの理由が、調査に立ち会う税理士として、
調査官に内部規則を「守らせなければならない」からです。
ここで間違ってはいけないことは、国税内部の規則は
公務員である調査官が「守らなければならない」ということです。
「守ってもいいルール」でも「守った方がいいルール」
でもありません。「守らなければならない」のです。
法令解釈通達・事務運営指針を含む内部規則に
違反している調査官に対しては、下記の法律違反を
問うことができるのです。
国家公務員法98条
(法令及び上司の命令に従う義務並びに争議行為等の禁止)
職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、
且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
国家公務員法82条(懲戒の場合)
職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、
これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は
戒告の処分をすることができる。
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合
国税通則法の改正により、税務調査の手続きも
大きく変わりました。これに付随して
公表されているだけでも、通達・事務運営指針の他、
FAQも公表されていますが、これも広く解釈すると
調査官が遵守しなければならない内部規則です。
「税務調査手続に関するFAQ(税理士向け)」
https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/zeirishi.htm
「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/ippan.htm
すべての内部規則を知り覚えておくのは、
実務家である税理士としてムリがありますが、
目を通しておき、内部規則を調べてみれば
これらに違反する調査官に対して、国家公務員法違反を
主張することが大事なのです。
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