調査時の納税者の発言
※2014年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税務調査でよく問題になるのが、納税者自身の発言です。
税理士として横にいれば、足を蹴ってでも
発言を止めたくなるケースがよくあることでしょう。
よくある、給与・外注費の区分については・・・
調査官:「外注さんのシフトってどのように決めてるんですか?」
社長 :「そりゃ朝9時には来てもらうように指示していますよ」
調査官:「仕事に使う材料も会社から支給していますよね?」
社長 :「そうしなきゃ仕事にならないですからね」
調査官:「外注さんの仕事でクレームが起きたらどうします?」
社長 :「そりゃ、会社としてお詫びに行きますよ!」
調査官:「これは外注費ではなく、完全に給与ですね」
相続の調査で名義預金と指摘されるケースでは、
調査官:「あなた(妻)名義で数千万円の預金はさすがに多額でしょう」
相続人:「以前私も働いていましたから・・・」
調査官:「以前はどこにお勤めで?」
相続人:「結婚前まで○○会社(有名企業)で10年働いていました」
調査官:「それは給料が高かったことでしょう!?」
相続人:「それがですね~あの企業は入社当時給料が低くて・・・」
調査官:「やっぱりこの預金は旦那さんが貯金してくれた分ですね」
納税者が調査の場にいて、税務上不利な取扱いを受ける
発言をすることは、何も悪意があるわけではなく、
純粋な税法の不知であることからであります。
だからこそ私は常々、「税務調査ではできるだけ、納税者を
不在にすること」を伝え続けています。
税務調査を立ち会う者別に区分すると3つのパターンがあります。
①納税者+税理士
②納税者のみ
③税理士のみ
①がもっとも普通のパターンですが、大企業であれば
②であることも多くあります。
税理士としては③が信じられないように思うかもしれませんが、
税理士法第2条第1項第1号の「税務代理」は、
納税者の代わりに主張・陳述できるのですから、
調査を税理士だけで受けることは法律的にも何ら問題ありません。
一方で、調査官は調査の冒頭から納税者不在の場合、
「納税者を立ち会わせてください」と求めることもあります。
確かに、事業概況や被相続人の生前の状況などは、
納税者でなければ話せないことも多くあります。
これを配慮すると、朝10時から始まる税務調査も、
当初は納税者がいて、昼前には納税者に「予定があるので」
といって退席してもらうことが有効です。
税務調査の冒頭に「経営者(納税者)は11時から
予定があるので、それまでに聞きたいことは聞いてください」
と調査官に伝えるのです。これで細かい調査の論点は、
税理士だけで受けることが可能になります。
また調査を受ける場所も、元帳などの資料さえあれば、
税理士事務所を指定することも可能です。
税理士がわからないことは、あとで会社に聞いて
まとめて回答する、と言えばいいだけなのです。
むしろ、その場で即答して、ボロを出してしまうより、
回答を精査できるという点では、回答を持ち帰った方が
より有利に税務調査を運ぶことができます。
税理士だけで調査立会いをすることに抵抗ある方も
多いようですが、私はこれが普通だと思います。
調査官に、納税者の不利な発言をあげられるより、
税理士だけで対応することが有効なのです。
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