調査書面に関する対応
2013年6月に、「国税庁レポート2013」が公表されました
http://www.nta.go.jp/kohyo/katsudou/report/2013.pdf
このレポートは毎回、マクロの数字等しか載っていないのですが、
課税庁の方向性を確認するには必要な資料です。
さて、本メルマガでは
税務調査の手続きが厳格化された
→ 調査官の事務量は増える一方
→ でも税務調査の件数は減らせない
という内部事情をお伝えしてきました。
さらに、税務調査の手続きが厳格化された影響として
調査官の事務量が増える原因として、書面を作成し、
サインを求める行為が常態化していることにもあります。
これらの書面は、質問てん末書や聴取書・質問応答記録書など、
さまざまな名称で呼ばれていますが、内容は同じで、
税務調査のやり取りを書きだしたものです。
これは「一筆入れる」書面である申述書(申立書)などとは
性格を異にしており、重加算税を課すことを目的としているのではなく、
調査が適法に行われていることを証明するためのものですが、
それでも現場レベルでは、納税者に不利なことしか
書かれていない書面にサインを求められるケースも多くあるようです。
今年から特に、重加算税(不利益処分)の場合にも、
理由の附記が必要になったので、調査官としては
書面という間接証拠を取りたがるわけです。
ここで、非常に面白い記事を見つけました。
※ぜひ全文読んでください(特に、一番下の枠内)。
http://www.lotus21.co.jp/ta/1308hlbf/512_08.pdf
「質問てん末書の作成要領」なるものの出所については、
TAINS等でも調べてみましたが見つかりませんでした。
ぜひ全文読んでみたいものです。
(お持ちの方がいればぜひ教えてください)
ここに書かれている通り、質問てん末書などの書面は
あくまでもやり取りの記録であって、調査官の
「誘導」「取引」「強要」は許すべきではありません。
「質問てん末書の作成要領」は、全文手に入っているわけではなく、
かつ大阪国税局で作成されたもののようですので、
「誘導」「取引」「強要」などの行為があった場合に、
納税者として抗弁する根拠にまでなるものではありません。
しかし、このようなマニュアルを作成している現実から
考えると、実際には税務署側に有利な書面を作成しており、
それがもとでトラブルになっているのも事実なのです。
平成24年7月9日の(公開)裁決でも、
質問てん末書の内容を巡って争いがおこっています。
「請求人は、請求人の妻に請求人の自宅(本件自宅)を売却したのは事実であり、
本件自宅を購入した事実はない旨の質問てん末書に署名したのは、
突然の原処分庁所属の調査担当職員(本件調査担当職員)の来訪に混乱したことに
よるものである旨主張する。しかしながら、請求人の妻の申述に係る
質問てん末書は信ぴょう性があると認められるほか、請求人の妻は
本件自宅の売買に係る領収証(本件領収証)について記憶がなく、また、
本件領収証に記載されている金額を支払った事実もないことからすれば、
請求人が妻に本件自宅を売却したとは認められない。」
http://www.kfs.go.jp/service/JP/88/05/index.html
「質問てん末書にサインを求められたらどう対応すべきですか?」
と最近よく聞かれますが、書面内容を確認し、
やり取りが本当にそのまま記載されているのであれば
問題はないのでしょうが、サイン「しない」ことをオススメします。
書面にサインして、納税者が有利になることなどないのですから。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
2013年9月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。