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2024.07.12

貸付事業用宅地等と確定申告の関係

※2023年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のテーマは
「貸付事業用宅地等と確定申告の関係」です。

税務相互相談会に実際に寄せられた質問を
少し加工してお届けします。

税務相互相談会では、相続税・贈与税に関する
質問だけでも毎日3件とか質問がきますので
税理士が悩む質問事例が蓄積されます。

■前提
1.被相続人は土地(180㎡)を第三者に
月30,000円で賃貸していた。
2.地代収入につき、確定申告はしていない。

■質問
第三者に賃貸している当該土地につき
確定申告をしていないことを理由に
貸付事業用宅地等として小規模宅地等の
適用ができないか。

■回答
貸付事業用宅地等として適用できるか否かは
条文で確認する他ありません。

小規模宅地等の特例は
租税特別措置法69の4条であり、
貸付事業用宅地等は
同条3項4号に規定されています。

まずは、以下ご参照ください。

四 貸付事業用宅地等
被相続人等の事業
(不動産貸付業その他政令で定めるものに限る。
以下この号において「貸付事業」という。)の用に
供されていた宅地等で、次に掲げる要件のいずれかを
満たす当該被相続人の親族が相続又は遺贈により
取得したもの(特定同族会社事業用宅地等
及び相続開始前三年以内に新たに貸付事業の用に
供された宅地等(相続開始の日まで三年を超えて
引き続き政令で定める貸付事業を行つていた
被相続人等の当該貸付事業の用に供されたものを
除く。)を除き、政令で定める部分に限る。)をいう。

イ 当該親族が、相続開始時から申告期限までの間に
当該宅地等に係る被相続人の貸付事業を引き継ぎ、
申告期限まで引き続き当該宅地等を有し、かつ、
当該貸付事業の用に供していること。

ロ 当該被相続人の親族が当該被相続人と生計を
一にしていた者であつて、相続開始時から申告期限まで
引き続き当該宅地等を有し、かつ、相続開始前から
申告期限まで引き続き当該宅地等を自己の貸付事業の
用に供していること。

要件としては、以下のとおりです。

被相続人
または
被相続人と生計一親族の
どちらかが

当該土地につき
事業要件(※1)

保有要件(※2)
を満たす必要があります。

※1 事業要件
その宅地等に係る被相続人の
貸付事業を相続税の申告期限までに
引き継ぎ、かつ、その申告期限まで
その貸付事業を行っていること

※2 保有要件
その宅地等を相続税の申告期限まで
有していること

条件で定める要件は
上記のみであるため
確定申告を要件にするとは
規定されていません。

そのため、確定申告をしていない
ことをもって貸付事業用宅地等が
否認されることはありません。

ただし、課税庁側から
期限後申告を求められる可能性が
あることには留意が必要です。

また、地代30,000円/月が
相当の対価
(土地の固定資産税都市計画税)
か否かなど、
そもそも貸付事業に該当するか
は確認が必要となります。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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