貸付事業用宅地等と確定申告の関係
※2023年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
今回のテーマは
「貸付事業用宅地等と確定申告の関係」です。
税務相互相談会に実際に寄せられた質問を
少し加工してお届けします。
税務相互相談会では、相続税・贈与税に関する
質問だけでも毎日3件とか質問がきますので
税理士が悩む質問事例が蓄積されます。
■前提
1.被相続人は土地(180㎡)を第三者に
月30,000円で賃貸していた。
2.地代収入につき、確定申告はしていない。
■質問
第三者に賃貸している当該土地につき
確定申告をしていないことを理由に
貸付事業用宅地等として小規模宅地等の
適用ができないか。
■回答
貸付事業用宅地等として適用できるか否かは
条文で確認する他ありません。
小規模宅地等の特例は
租税特別措置法69の4条であり、
貸付事業用宅地等は
同条3項4号に規定されています。
まずは、以下ご参照ください。
—
四 貸付事業用宅地等
被相続人等の事業
(不動産貸付業その他政令で定めるものに限る。
以下この号において「貸付事業」という。)の用に
供されていた宅地等で、次に掲げる要件のいずれかを
満たす当該被相続人の親族が相続又は遺贈により
取得したもの(特定同族会社事業用宅地等
及び相続開始前三年以内に新たに貸付事業の用に
供された宅地等(相続開始の日まで三年を超えて
引き続き政令で定める貸付事業を行つていた
被相続人等の当該貸付事業の用に供されたものを
除く。)を除き、政令で定める部分に限る。)をいう。
イ 当該親族が、相続開始時から申告期限までの間に
当該宅地等に係る被相続人の貸付事業を引き継ぎ、
申告期限まで引き続き当該宅地等を有し、かつ、
当該貸付事業の用に供していること。
ロ 当該被相続人の親族が当該被相続人と生計を
一にしていた者であつて、相続開始時から申告期限まで
引き続き当該宅地等を有し、かつ、相続開始前から
申告期限まで引き続き当該宅地等を自己の貸付事業の
用に供していること。
—
要件としては、以下のとおりです。
被相続人
または
被相続人と生計一親族の
どちらかが
当該土地につき
事業要件(※1)
と
保有要件(※2)
を満たす必要があります。
※1 事業要件
その宅地等に係る被相続人の
貸付事業を相続税の申告期限までに
引き継ぎ、かつ、その申告期限まで
その貸付事業を行っていること
※2 保有要件
その宅地等を相続税の申告期限まで
有していること
条件で定める要件は
上記のみであるため
確定申告を要件にするとは
規定されていません。
そのため、確定申告をしていない
ことをもって貸付事業用宅地等が
否認されることはありません。
ただし、課税庁側から
期限後申告を求められる可能性が
あることには留意が必要です。
また、地代30,000円/月が
相当の対価
(土地の固定資産税都市計画税)
か否かなど、
そもそも貸付事業に該当するか
は確認が必要となります。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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