• HOME
  •  › ブログ
  •  › 貸倒損失:債務免除(債権放棄)する
2021.10.26

貸倒損失:債務免除(債権放棄)する

※2020年5月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

本メルマガ金曜では、連載で「貸倒損失」を
取り上げていますが、今回は「債務免除
(債権放棄)」する場合を解説します。

まず、典型的なケースで考えてみましょう。

・相手方が破産・倒産などしていない

・時効年数は確実に徒過している
(10年前の売掛金であるなど)

・債務者は時効の援用をしていない
(音信不通で連絡先もわからない等)

・債権は実質的に回収不可能なので
今期で貸倒損失に計上したい

・ただし基本通達9-6-3に該当するか
自信はない(督促行為など長年していない)、
もしくは期ズレ・税務上の時効(5年超)
と否認指摘されるリスクが高い

このような前提で(利益がでた)今期に
「エイッ」と貸倒損失を計上するので、
税務調査では否認されてしまうわけです
(ちなみに貸倒損失を計上すれば
税務調査に選定されやすくなります)。

ここで、私がいつも理解に苦しむのが
「なぜ債務免除しないのか?
(しなかったのか?)」ということです。

貸倒損失が認められる考え方は、

「金銭債権が社会通念上回収が不可能と
評価できる事実が必要(課税要件)になる
わけですが、その基準が曖昧であることから、
実務上は法人税法基本通達9ー6ー1~3が
存在する、という枠組み」

だと「貸倒損失の総論」(3月27日配信)
で解説しました。

ですから、通達の規定内容を満たしているか
どうか判断する前に「社会通念上回収が不可能
と評価できる事実」を債務免除(債権放棄)
で明確にすればいいというわけです。

民法において、

民法519条
債権者が債務者に対して債務を免除する意思
を表示したときは、その債権は、消滅する。

民法第97条第1項
意思表示は、その通知が相手方に
到達した時からその効力を生ずる。

と規定されていますので、債務免除を通知
すれば、到達時に法的に債権債務は消滅し、
貸倒損失に計上することができます。

基本通達9-6-1では法律上の貸倒を
規定していますが、その(4)でも
債務免除は当然に認められているわけです。

とはいえ・・・債務免除(債権放棄)を
しても、税務上のリスクはゼロではなく、
「寄付金」認定される可能性もあります
ので、これについては次回解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。