費途不明の交際費と主張するデメリット
※2017年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。
「商品券等を交際費にして指摘されるくらいなら・・・」
について、非常に反響がありました。
受注するためにリベートが必須な業種・業態もあれば、
特定の取引先(の担当者)から、受注を継続するために
リベートを求められる会社もあるのが現実です。
さて、あまり知られていないようなのですが、
「費途不明の交際費」という規定が存在します。
法人税基本通達9−7−20(費途不明の交際費等)
法人が交際費、機密費、接待費等の名義をもって支出した金銭で
その費途が明らかでないものは、損金の額に算入しない。
リベートのような、本来は交際費にあたる支出も、
相手方が明らかにならない場合は、たとえ
損金参入枠内だとしても損金にはならない、とする規定です。
この通達規定を逆手に取ると、相手方を明かせない
リベートは、損金にならなくても受け入れる
という税務調査の対応があり得るということです。
ただし、ここでこの通達の規定を
あえて受け入れるデメリットも存在します。
この点は注意が必要でしょう。
1つ目は、消費税の問題。
費途不明の交際費ということになれば、
仕入税額控除の要件を満たさない、あるいは
対価性がはっきりしない、ということから、
「不課税」取引となってしまい、消費税において
別途増差税額が発生してしまうことになります。
2つ目のデメリットは、相手方の追及です。
法人税関連の書籍にはよく書かれていますが、
この通達規定は「代替課税ではない」ことから、
費途不明の交際費を受け入れたとしても、
相手方を追及されない、というわけではありません。
あくまでも、「相手方の名前が明かされないと
反面調査等で内容を確認することができないから
損金不算入にするしかない」というのが、
上記通達規定の趣旨なのです。
つまり、相手方を明示しない代わりにこちらが
税金をかぶればいい、というものではありません。
相手方を明示しなくても、税務調査で調査官は
相手方の追及を行うことはできるのです。
もちろん、この「代替課税ではない」ということを
調査官が知らない、もしくは知っていたとしても、
調査官が了承したうえで、「損金不算入を
受け入れるから相手方を追及しない」という
合意ができていればOKということになります。
税務調査で交渉上、費途不明の交際費を
持ち出す場合、相手方の追及をしないことをまず、
調査官と確約させておく必要があるということです。
この点は勘違いしている方が多いので、
ぜひ税務調査では注意してください。
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