2016.01.07

逆養老の税務調査

すでに話題になっているようですが、
逆養老(ハーフタックス)の税務調査が相次いでいます。

平成24年1月に最高裁判決が出され、
個人の一時所得に関する必要経費部分について
納税者が負けることで確定したものを受け、
一昨年・昨年と課税庁が一気に動きました。

狙いは、保険会社およびその代理店です。
逆養老の加入先を洗い出し、昨年から重点調査を開始しています。

問題になるのは個人への名義変更ですから、
一時所得の申告内容から、逆養老と判断できるものは
各税務署で申告書を洗い出し、これも調査対象にしています。

実際に、税務調査に入られた、という話は
全国の税理士さんから聞いています。

調査から話は逸れますが、逆養老の税務処理については
明確な通達等がないため、税理士によって
税務処理にバラツキがあるようですが、
「1/2保険料+1/2給与課税(役員報酬)」
で問題ないものと考えます。

なぜなら、(一時所得で争われた)最高裁判決でも、
補正意見の中では、給与課税することを
前提として述べられているからです。

逆養老の税務調査で問題になるのは、
法人ではなく(名義変更後の)個人の方です。

法人で払い済みの保険を、個人に名義変更することで、
いわゆる節税を目的にしたものですが、
やはり否認指摘に反論する根拠がないように思います。

なぜなら「個人に名義変更をする(合理的な)理由がない」
からです。当然と言えば当然です。
名義変更することを目的としている保険なのですから。

先週から全国でセミナーを開催しているのですが、
懇親会でよく聞かれる質問が
「名義変更して一時所得で申告しているのですが、
調査があればどうすればいいですか?」

名義変更した方は、調査に入られたら否認されるという状況で、
できることはたった1つ。「自ら修正申告する」ことです。

逆養老の場合、税理士が勧めて加入したというケースが少なく、
社長(法人)が自ら判断・選択して加入したのであれば、
修正申告することを伝えるべきだと考えます。

「自ら」修正申告を提出すれば、
加算税(10%)部分は免れることができます。

もちろん、調査の事前通知があって、
調査の初日までに修正申告するのでも構いません。

「申告所得税及び復興特別所得税の過少申告加算税及び
無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/shotoku/shinkoku/000703/01.htm

「(注) 臨場のための日時の連絡を行った段階で
修正申告書が提出された場合には、原則として、
「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当しない。」

が原則で、加算税は課されません。

事前通知があってから修正申告した場合、
調査官は「取り下げ」を要求してきたり、
加算税を課すと強硬に言う場合が多いようですが、
上記事務運営指針を明示すべきです。

また、同時に聞かれる質問として、「法人で逆養老に
加入しているが、個人に名義変更をしていない場合、
どうすればいいですか?」というものがあります。

個人の一時所得について否認されたくないのであれば、
法人から個人に名義変更しないことをオススメします。
(法人のピークは通常8年前後で到来するはずです)

もちろん、これでは保険加入時の目的は
達成できないのですが、否認されるとわかって
名義変更する方が意味がないでしょう。

今年はますます、逆養老の税務調査が増えそうです。
注意してください。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

※2014年3月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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