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2017.02.21

通達を杓子定規に適用する否認指摘に反論

※2016年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

株式会社InspireConsultingの久保憂希也です。

今回は税務調査の実例を通じて、
「通達を杓子定規に適用する否認指摘に反論」
する方法を解説します。

下記の実例(否認指摘)は過去に3回見たことがありますので、
皆さんも実際に指摘を受ける可能性が高いと思います。

おそらくですが、この否認指摘をして、今まで
課税できてきたからこそ、このような細かい
否認(指摘)が横行しているものだと考えます。

【実例】

・残業もしくは休日出勤の際に、外食をした、
もしくはコンビニ・弁当屋などで食事を買い、
領収書・レシートで会社側と現金精算している

・会社が小口現金等をその場で出しているのではなく、
社員がいったん立て替えている

・金額は1,000円/人/回以下となっている

・税務調査において「会社が食事を支給しているのではない」
ことから、給与課税と指摘を受けた

・根拠は所得税基本通達36−24
使用者が、残業又は宿直若しくは日直をした者
(その者の通常の勤務時間外における勤務として
これらの勤務を行った者に限る。)に対し、
これらの勤務をすることにより支給する食事に
ついては、課税しなくて差し支えない。

【参考】
タックスアンサー「No.2594 食事を支給したとき」
https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2594.htm

呆れるような、重箱の隅を突っつく否認指摘ですが、
どのように反論すればいいのでしょうか。

まず、税務は形式ではなく実態を考慮する課税が
原則とされていますが、調査官の中には、
自身に都合いいように、実質での課税と通達の文言など
形式での課税を使い分けて主張するケースがあります。

上記のような、形式をもって課税根拠としている
のようなケースでは「実質課税の原則ですから
実態を見て判断してください」とまず主張すべきです。

具体的には、上記の実例で考えると、

・会社が直接食事を用意できない、もしくは
現金を支給できないことに正当な理由があること
⇒深夜に現金を扱える役員・社員がいない、
現金を扱う本社や部署が違う場所にある等

・会社が直接現金を払うことと、社員がいったん
立替えてから精算することは、実態としては同じ
⇒食事代だけの話ではなく、会社が必要な物品の購入
などでも、立替払いするのが通例として認められている

などの反論が考えられます。

また、上記のように通達の文言(形式)だけを
課税根拠にしてくるような場合には、
通達の前文が反論根拠になります。

所得税基本通達前文(の一部)
なるべく画一的な基準を設けることを避け、
個々の事案に妥当する弾力的運用を期することとした。
したがって、この通達の具体的な適用に当たっては、
法令の規定の趣旨、制度の背景のみならず条理、
社会通念をも勘案しつつ、個々の具体的事案に
妥当する処理を図るよう努められたい。

※法人税基本通達にはさらに詳細な前文が存在します

通達の前文とは、通達全体の運用ルールですから、
ここに記載あるとおり、通達の文言のみをもって
課税することはできないことが規定されているのです。

杓子定規な否認指摘には、ぜひ上記の
反論方法で対応してください。

 

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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