通達違反は〇〇法違反!?
※2015年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
平成25年1月以降、税務調査の手続きは細かく定められ、
本ブログでも手続きは細かい点まで触れています。
一方、現実の税務調査では、調査官はそれら細かい
調査手続きは守っていないことも多いわけです。
では、税務調査で調査手続きが守られなかった場合、
何を根拠に、違法性を問うのか?
もちろん、国税通則法第74条の2以降に定められた
調査手続きが守られなかった場合は、
そのまま「国税通則法違反」を問えばいいわけです。
しかし、調査手続きの多くは、
法令解釈通達
「国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の制定について」
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/zeimuchosa/120912/index.htm
事務運営指針
「調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sonota/120912/
に定められているわけです。これらに違反していた場合、
何法違反と問えばいいのでしょうか?
さて、いったん整理しておくと、法令解釈通達と
事務運営指針は、まとめて「通達」に該当します。
ここにいう「通達」とは、
「上級行政庁が下級行政庁に対し,細目的な職務事項や
法律の解釈・判断の具体的指針を示し,行政上の処理の
統一を期するために文書をもって発する指示」(大辞林より)
であり、税務行政に置き換えれば、税務署職員が
【守らなければならない】ルールであり命令・規則です。
話を戻すと、法令解釈通達や事務運営指針に違反するということは
(税務調査手続きだけの話ではなく)、調査官が
通達=国税の規則・命令に違反しているということです。
国家公務員法105条(職員の職務の範囲)
職員は、職員としては、法律、命令、規則
又は指令による職務を担当する以外の義務を負わない。
この規定から明らかなように、公務員は法律だけではなく、
定められた命令や規則を守らなければなりません。
(非常に当たり前の話なのですが)
調査官にとってみれば、法令解釈通達や事務運営指針などの
「通達」が命令・規則に該当します。
国家公務員法98条(法令及び上司の命令に従う義務
並びに争議行為等の禁止)
職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、
且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
以上から、法令解釈通達や事務運営指針に定められた
調査手続きに違反するというのは、
「国家公務員法違反」ということになります。
もちろん、違反した場合は、懲戒の対象になります。
国家公務員法82条(懲戒の場合)
職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し
懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合
調査手続きについては、通則法はもちろんのこと、
法令解釈通達と事務運営指針を知っておく必要があり、
調査官が違反していた場合は、国家公務員法違反
として追及できますので、ぜひ注意してください。
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