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2015.12.10

進行年分の調査は合法か?

私が納得いかない調査対象に「進行年分」があります。
進行年分とは、調査が実施された際の期を指します。
つまり、まだ決算月も申告時期も到来していない期です。

進行年分の調査の典型例としては、現金商売に対する
(無予告調査時の)現金監査でしょう。

いきなり調査官がやってきて、「レジの中の現金を
数えてください」は、本当に正しいのでしょうか?

これ以外にも、通常の調査において、
「現在の経理処理はどうされていますか?」などの質問も
進行年分の調査に含むものと考えています。

なぜ進行年分の調査に納得がいかないかというと、

税務調査=自主申告した課税標準および税額が正しいか
     どうかを確認するために行われるもの

だからです。申告もしていないのに、
調査の対象とされること自体がおかしいと考えるのは
至極当然のことのように思います。

ちなみに、平成24年(国税通則法改正)以前は、
この点が曖昧なままでした。

平成25年以降は通達によってこの取り扱いが
明らかにされることになりました。

国税通則法第7章の2(国税の調査)関係通達の制定について(法令解釈通達)
4-5(「調査の対象となる期間」として事前通知した
課税期間以外の課税期間に係る「帳簿書類その他の物件」)

事前通知した課税期間の調査について必要があるときは、
事前通知した当該課税期間以外の課税期間(進行年分を含む。)に
係る帳簿書類その他の物件も質問検査等の対象となることに留意する。
(注) 例えば、事前通知した課税期間の調査のために、
その課税期間より前又は後の課税期間における経理処理を確認する
必要があるときは、法第74条の9第4項によることなく必要な範囲で
当該確認する必要がある課税期間の帳簿書類その他の物件の
質問検査等を行うことは可能であることに留意する。

また、同時に施行された国税の内部規定にも
下記の記載があります。

「税務調査手続等に関するFAQ(職員用)」

●調査対象期間
┌──────────────────────────────────────┐
|問1-24 進行期についても、「調査の対象となる期間」として事前通知を行う必|
|    要があるのか。                           |
└──────────────────────────────────────┘
(答)
進行期については、更正決定等を目的とした調査の対象期間とはなりませんので、
事前通知事項である「調査の対象となる期間」には含まれません。
なお、改正通則法第74条の9第1項の規定により通知を行った
「帳簿書類その他の物件」には、調査の目的を達成するために
必要であるときは、例えば、「調査の対象となる期間」として
事前通知した期間以外の期間(進行年分を含む。)に係る帳簿書類
その他の物件も含まれます(手続通達1-5)。
したがって、事前通知した調査の対象となる期間(年分・事業年度)の
納税申告書の記載内容の確認のために、進行期に作成・取得された
帳簿書類等を検査することは可能です。

ここで、注意が必要なのは、進行年分(進行期)の
調査は認められる、と短絡的に考えるのではなく、
あくまでも要件があることに注意すべきです。

「事前通知した課税期間の調査について必要があるときは」

「事前通知した課税期間の調査のために、その課税期間より
前又は後の課税期間における経理処理を確認する必要があるとき」

「事前通知した調査の対象となる期間(年分・事業年度)の
納税申告書の記載内容の確認のために」

これらの要件に何ら関係なく、ただ単純に
「現金を数えてください」「今の経理処理を見せてください」
は通じないということなのです。

なぜ進行期年分の調査が必要なのか、
無条件に受け入れる前に、
しっかり確認する必要があるのです。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。
※2014年2月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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