1326遺産分割と債務控除の関係
※2024年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
税理士法人レディングの木下でございます。
今回のテーマは、
「遺産分割と債務控除の関係」です。
我々税理士にとっては当たり前のように
遺産分割協議書には債務の分割に関して
必ずといっていいほど記載があります。
それは債務控除(相法13,14)を
必ず意識するためです。
そもそも、民法における金銭債務は
遺産分割においてどのように整理されているのでしょうか。
民法における金銭債務は、
相続開始と同時に法定相続分に応じて当然に
分割承継され、遺産分割協議において
法定相続分と異なる割合で負担する旨を合意しても、
これを第三者である債権者に対抗することはできない、
と考えられています(東京高裁昭和37年4月13日決定)。
これと同様の高裁決定には以下もあります。
■大阪高裁昭和31年10月9日決定
相続債務は遺産分割の対象たる相続財産中に含まれない。
■札幌高裁昭和41年12月26日決定
被相続人の債務は、相続開始と同時に当然相続人間に分割承継され、
遺産分割に当り考慮されるべきでない。
■東京高裁昭和56年6月19日決定
被相続人が負担していた金銭債務は、遺産分割の対象から除外される。
つまり、消極財産(マイナス財産)は、
民法上、遺産分割協議の対象とならないのです。
趣旨としては、債権者保護になります。
ただし、民法上でも「共同相続人間」においては、
遺産債務を適宜分割することも可能とされており、
税務の世界では、遺産分割協議書に承継の規定を
記載することが通常の扱いになっています。
それは、相続税法では債務のうち
その者の負担に属する部分の金額を
債務控除すると規定されているためです。
また、被相続人の遺産が相続人等で未分割の場合には
相続人等が実際に負担する債務の金額も
確定していない場合が多くなります。
そこで、これに関する課税庁側の
法令解釈通達として相続税法基本通達13-3
(「その者の負担に属する部分の金額」の意義)
があります。
—
13-3 法第13条第1項に規定する
「その者の負担に属する部分の金額」とは、
相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの
相続人に対する遺贈に限る。)によって財産を
取得した者が実際に負担する金額をいうのであるが、
この場合において、これらの者の実際に負担する金額が
確定していないときは民法第900条から第902条
((遺言による相続分の指定))までの規定による相続分又は
包括遺贈の割合に応じて負担する金額をいうものとして取り扱う。
ただし、共同相続人又は包括受遺者が当該相続分又は
包括遺贈の割合に応じて負担することとした場合の金額が
相続又は遺贈により取得した財産の価額を超えることとなる場合において、
その超える部分の金額を他の共同相続人又は包括受遺者の
相続税の課税価格の計算上控除することとして申告があったときは、
これを認める。(昭47直資2-130、平17課資2-4改正)
—
本文では、負担金額が確定していないときは
法定相続分で負担する旨を規定しています。
また、但書では、法定相続分を超えた場合でも
超えた部分を他の共同相続人等の課税価格計算上
控除することを認める旨を規定しています。
当該但書については、
他の共同相続人の債務等超過分を
請求人の課税価格から控除するためには、
債務等超過分を控除することが可能な者の
合意が必要であるとした裁決例があります
(平22年3月15日裁決)。
このように、民法と相続税法では
債務に関する遺産分割の考え方が異なる部分が
あります。
一度、整理をしていただければと思います。
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